形は変われど、アイドル文化は残っていく
――最後に今後のアイドルはどうなると考えていますか。
なくならないと思うんです。 1970〜1980年代はソロのアイドルばかりだったものが、今はほとんどグループになっている。これはテレビの時代が終わったとか、ライブ中心だからにぎやかなほうがいいとか、あるいは握手会をやって人数が多いほうが儲けられるとか、いろいろな条件でそうなっている。
さらに今はK-POPや日本人でもNiziUみたいなものが出てきた。形は変われど、アイドルは残っていく。「推し活」という言葉もこれだけ広がっているし、アイドル的な需要のされ方というのはあり続けると思います。アニメキャラを推すとかもあるし、アイドル文化そのものはなくなりはしないですよね。
――AIやVTuberといった新たな形も出てきていますが、中森さんは今後アイドルは徐々に肉体性をなくしていくと考えていますか。
そういう考えもあるけれど、例えば秋葉原ではアニメショップや萌えショップ、そしてAKB劇場やソフマップといったアイドルのイベント会場があるけど、2次元派と3次元派ではわかれていた。なので全部バーチャルにはいかないんじゃないかな。
アイドルに限らず「感情労働」といって、テレホンアポイントメントやクレーム応対係とか、スマイルドロイド0円とか。肉体労働ではないけれど、ものすごく神経を使う仕事の中にはAIに移行せざるを得ないとも思う。
ただ「推し活」は、人間ですよ、最後は。新著『推す力』には、自分がこれまで生きたありったけの体験や思い、秘話をつめ込んだ特別な一冊なので、ぜひ、読んでいただきたいですね。
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取材・文/徳重龍徳 撮影/村上庄吾