ジャニーズや宝塚歌劇団…伝統が通用しなくなってきている

――新刊は中森さんの人生とアイドルの歴史を重ねた内容です。本の中ではアイドルに携わってきた人生への後悔のように読める部分もありましたが、現在はご自身の人生を肯定されていますか。

もちろん肯定しています。この本はこれまでの総決算の意味もあるけれど、コロナも明けて、未来に向けての話でもあります。

本を読んだらわかるように、アイドルは南からやってくる。南沙織が出てくる、松田聖子が出てくる、安室奈美恵が出てくることでアイドルというジャンルがある日、突然、ガラッと変わってしまう。もしかしたらまた誰かが出てくるかもしれないという、未来に対しての希望はあります。

同時に最後に「アイドルを推すことは未来を信じることだ」と書いた。僕自身は結婚しないし、子どももいないんですけど、普通だったら老人は自分の孫はかわいいって言うじゃないですか。自分は死ぬけど、自分の遺伝子が残るから愛が強い。

僕は孫はいないけど、自分の推しているものの未来がどうなるんだろうかということで希望が持てる。「推す」ということは血のつながりのない誰かに、希望を託すことなんですね。

今は独身男性が増えている。都内だと4人に1人の男性が生涯独身で終えるともいう。でもアイドルでなくても自分が好きなものがあれば、自分の住んでる街や場所、時代とか仕事を託せる。「推す」という言葉にはそういう意味合いもあります。

――推すものとしては、今年はジャニーズにも宝塚歌劇団にも大きな変化がありました。

歌舞伎でも市川猿之助の事件があった。伝統だといっていたやり方が、通用しなくなってきているところもあるのかな。僕はもう、ジャニー喜多川氏が亡くなった時点で、もっと言えばSMAPのあのひどい解散のさせられ方を見たときに、ああ、もう終わりだなと思いました。

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ジャニーズ事務所の記者会見 写真:ロイター/アフロ

気になるのはタレントたちですよね。ジャニーズ事務所は男性アイドルとしてみれば最大のプロダクションで、事務所に入ればエンターテインメントのこと、歌って踊って輝くことだけを考えればよかったのに、それがなくなってエージェント制になる。つまり、どうマネジメントするかは自分で決めろと言われている。そこはもうパニックだと思う。

ジャニーズ帝国が崩壊して一人一人のジャニーズのタレントが今試されてる。アイドルとはどういうものか、どういうものをこれから見せるのか。ファンはどうするか。僕としては、ジャニーズのアイドルたちが追い詰められ、試されたときに真に彼らの人間性があらわになる、それを注視したいですね。