それでも岸田政権に危機感は漂わず

そもそも岸田首相が「増税メガネ」と呼ばれているのは、2022年末に防衛費の大幅増額に伴う法人税、所得税、たばこ税の「防衛増税」を決めたからだ。これらの増税の開始時期は再来年度以降になるとみられている。
来年度に減税を行うといっても後にこの防衛増税が控えているのならば、今回の減税を手放しで喜べないというのが多くの国民の心境だろう。

小手先だけの減税、給付政策では岸田首相のイメージを変えることはできない。
岸田政権の支持率低下が止まらない現状に、首相官邸にも陰鬱とした空気が漂っているようだ。

「首相周辺は記者に支持率について聞かれても、あまり答えたがらない状態になっている。岸田首相本人も支持率低下を気にしてピリついているようだ」(政界関係者)

参議院本会議の代表質問で岸田首相へ異例の苦言をした世耕弘成参院幹事長(本人Facebookより)
参議院本会議の代表質問で岸田首相へ異例の苦言をした世耕弘成参院幹事長(本人Facebookより)

一方で、政権が転覆するような危機感が漂っているわけではない。
野党は立憲と維新が互いに争い、与党にとって脅威にならない状態が続いている。
自民党内では世耕弘成参院幹事長が代表質問で「国民が期待するリーダーの姿を示せていない」と首相に異例の苦言を呈した。しかし、世耕氏が所属する最大派閥の安倍派もリーダーを決められずに集団指導体制が続いており、「世耕氏が言っていることはブーメランだ」という声も自民党内からあがっている。

永田町関係者は「岸田政権は支持率がどんどん下がって低空飛行状態となっているが、それを撃ち落とす勢力がないため、このままだらだらと低空飛行政権が続くのではないか」と苦笑する。

だが、低空飛行政権による政治は、そのまま日本の低迷につながっていくのではないか。岸田政権への怒りを託せる政治家の登場が待ち望まれる。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班