事前の情勢調査から旗色がどんどん悪く
首の皮一枚がつながったといえるだろうか。
しかし、「選挙が近づくにつれて状況はどんどん悪くなっていった」と、自民党関係者は今回の結果を受けて、ため息をついて振り返る。
実際に自民党の苦境は数字にも表れていた。
衆院長崎4区補選では、9月30日、10月1日に自民党が実施した情勢調査によると、自民新人の金子容三氏が立憲前職の末次精一氏に8.0ポイントの差をつけていたが、投開票1週間前の10月14、15日の調査では3.1ポイントまで差を縮められ、超接戦の状態になっていた。
参院徳島・高知補選でも9月9、10日に実施した調査から野党系無所属の広田一氏に自民新人の西内健氏がリードを許していたものの、その差は4.3ポイント。
当初は逆転可能と見られていたが、日が経つにつれてどんどん差を広げられ、10月14、15日には16.1ポイントまで拡大していった。
結果、長崎では金子氏がギリギリ逃げ切るも、徳島・高知では投票を締め切った20時の時点ですぐに広田氏の当選確実をNHKが速報。開票率が0%でも出口調査の分析から西内氏の勝利はあり得ないと判断されたということであり、自民の大敗ぶりを際立たせた。
もともと、この2補選は自民が議席を有していながらも不安要素の多い選挙だった。
長崎では金子氏の父で元農水大臣の原二郎氏が、4区をお膝元にしていた故・北村誠吾氏と2022年の長崎県知事選で新人と現職をそれぞれ応援して保守分裂を引き起こし、その禍根が今も残っていると言われていた。
また、徳島・高知は、自民党に所属していた高野光二郎参院議員が秘書に暴行する事件を引き起こして辞職したことが選挙の原因となっており、自民に逆風が吹いていた。
しかし、それでも選挙が近づくにつれて、ますます自民党に不利な状況になっていったのは、地域情勢だけが原因ではなさそうだ。
永田町関係者は語る。