酔っ払いの寝ている足の上を通るネズミ

9月14日の夜から朝にかけて、歌舞伎町で働く人たちにインタビューを実施したところ、「ネズミのことはたいして気にしていない」「対策してもどうせいなくならないでしょ」といった意見が大半を占めた。その心境を紹介する。

「歌舞伎町で路面店を開いている人の大半はネズミが店の前を通りすぎるのは当たり前で、それこそ『朝起きたら歯を磨く』くらいのレベルですよ。実際、ウチにも深夜になるとネズミが侵入してくることもしょっちゅうだし、観光客の方なら驚くかもしれないけど、常連さんはまったく気にしない。新宿区役所はネズミの対策に力を入れるって言ってますけど、全滅させるなんて不可能でしょう。だって歌舞伎町って、ビルにゴミ捨て場がなくて『各々でゴミ収集業者と契約してください』ってところも多いので、店の前にテキトーにゴミ袋を置いてるから、そこがネズミの巣窟になってる店もあるんです。いくら対策しようと根本的な解決は無理で、税金の無駄ですね」(バー店主・30代男性)

「とくにネズミが多くなるのは、夜の10時ごろから朝方にかけて。2、3日に一度はここ(無料案内所)に入ってきますけど、放っておけば勝手に出ていくし、そんなの日常茶飯事って感じ。でも、さすがに『気持ちわるっ!』って思うのは、早朝の歌舞伎町かな。『TOHOシネマズ』の前によくゲロが落ちてるんですけど、それにハトとネズミが群がっているときは食欲も失せますね(笑)。そうやって(新宿区が)ネズミの駆除に力を入れると言ってるけど、ぶっちゃけ『どうせ無理だろう、好きにやってくれ』って感じかな」(無料案内所スタッフ・20代男性)

歌舞伎町のビル脇で溢れたゴミ(撮影/集英社オンライン)
歌舞伎町のビル脇で溢れたゴミ(撮影/集英社オンライン)

上記のように、今回の新宿区のネズミ対策に関しては「否定的または無関心」の人が圧倒的に多かった。実際、この日も記者が歌舞伎町を歩いていたところ、路上を走るネズミに何度も遭遇したが、ほとんど気に止める人はいなかった――。

また、取材を進めるうちにこんな声も聞こえてきた。

「多いときはネズミが10~20匹ほど群がっている光景も目にしますけど、私たちは毎日見ているのでぜんぜん驚きません。むしろ、ネズミはゴキブリと違って人に近づいてこないし、モルモットみたいに大きなネズミが『チューチュー』って仁王立ちでネコパンチしながらケンカするときがあって可愛いんですよ(笑)。ネズミ同士でケンカしだすと、キャストのみんなで『可愛いね』って盛り上がります」(コンカフェ店員・20代女性)

ゴミの下を行き来するネズミ(撮影/集英社オンライン)
ゴミの下を行き来するネズミ(撮影/集英社オンライン)

「田舎(北海道)から出てきて初めて歌舞伎町に来た時は、どこにでもネズミがいて気持ち悪かったですけど、不思議なもんで慣れちゃいましたね。朝の4時台とか酔っ払いがその辺で寝てるじゃないですか。そこに擦り寄ってたり足の上を通ったりとかしてるの見るとクスッと笑えますよね。歌舞伎町で遊ぶ人はもうネズミと共存してるんだなって思います」(キャバクラ店員・20代男性)