鎌倉はお経と潮風の街

今年のゴールデンウィークはコロナ禍前と同じくらい鎌倉は人で溢れていて、街に活気が戻ってきたのを実感しました。

「古都・鎌倉」といっても、例えば京都や金沢のように歴史的な街並みがたくさん残っているわけではないんですよね。お寺や神社はたくさんありますけれど。点在するお寺や神社、そして山があって海がある。私なりにいえば、鎌倉はお経と潮風の街でしょうか。その二つの相反する要素をうまく溶け合わせているのは、やっぱり江ノ電だと思います。

コンパクトなのも鎌倉の良さですね。旧市街って本当に小さなエリアですから、多分、1日あればいろいろな名所やお店を回ることができるんじゃないかな。江ノ電という最強の移動手段がありますし。

さまざまな分野の専門店がけっこうあるので、それをみて回るのも楽しいと思います。和紙だけのお店やチーズだけのお店はもちろん、ハチミツ専門店や靴下専門店、手紙を書くためのものが揃うお店なんかもあるんですよ。きっと都心に比べて家賃がリーズナブルで店主のみなさんが自分のペースで商売できるんじゃないかなあ。最近は家賃も上がってきているようですが。

「鎌倉はお経と潮風の街」――甘糟りり子が選んだ品々が並ぶ“鎌倉商店”で当地の気分を味わって_8
昨年、オープンしたレガレヴはスフレが大人気のお店。紅茶やコーヒーはもちろんお酒にも合うクッキーをセレクト
「鎌倉はお経と潮風の街」――甘糟りり子が選んだ品々が並ぶ“鎌倉商店”で当地の気分を味わって_9
自宅の庭で摘んできた紫陽花をディスプレイ。この一角が鎌倉の雰囲気に包まれる

海を感じながら都会の楽しみを捨てなくていい

コロナ禍のこの2年間は東京に出て行くことはほとんどなかったのですが、最近は頻繁に東京を訪れています。
その度に、「空が小さい!」って感じます。ビルが高いですからね、海のそばで暮らしている私には、東京の空は少し息苦しいかも。車で鎌倉に帰ってきて向かって海岸線に出るとほっとします。私、バブルの申し子なんて言われますけれど、もう都会派じゃなくなったなあと思います(笑)。

鎌倉の暮らしで気に入っているのは、なんといってもすぐに海に出られること。
海辺を散歩するだけで気持ちが解放されます。

最近は、東京から人気のレストランが移転してくることも多いですね。鎌倉野菜や新鮮な魚介類も手に入りやすいから料理人には興味深いエリアなのかもしれません。

10年前に比べて鎌倉にはいいバーがたくさんできました。ホテルも増えていますし、夜も活気づいてきたんじゃないかな。自然を身近に感じながら、街の楽しみを味わえるので私には住みやすいところです。

「鎌倉はお経と潮風の街」――甘糟りり子が選んだ品々が並ぶ“鎌倉商店”で当地の気分を味わって_10
「鎌倉の海辺を歩くと開放感に包まれます」と甘糟さん