6歳女児の全裸写真を撮り、現行犯逮捕された宮崎勤
わたしがBちゃんの母親にインタビューした3か月後の1989年6月6日。都内江東区の団地に住む5歳(当時)の女児Dちゃんが、近所で遊んでいるうちに行方不明になった。
5日後の11日午前11時ころ、飯能市の霊園で頭部や両手、両足が切断された幼女の遺体が発見された。その後の捜査で遺体はDちゃんと判明。想像を超えた猟奇ぶりに、列島は震撼した。
その翌月の7月23日、日曜日の午後4時35分ころ。東京都八王子市の郊外で、幼いふたりの姉妹に「写真を撮らせて」と若い男が声をかけた。不審に思った姉は、父親に助けを求めた。
近くの沢に妹を連れ出した男は、買ったばかりの一眼レフのカメラを構え、全裸になった6歳(当時)の妹にレンズを向けた。駆けつけた父親が偶然近くをパトロールしていた警官に身柄を引き渡し、強制わいせつの現行犯で逮捕された。
男は、26歳(当時)の宮崎勤。
8月7日、宮崎勤はわいせつ目的・強制わいせつで起訴された。9日、八王子署に派遣された特別捜査部員の追及に、宮崎勤はのらりくらりとあいまいな供述を繰り返していたが、夕食後にDちゃんの殺害を自供した。
8月10日、快晴。この日から所属していた写真誌編集部の夏休みが始まった。わたしは家族を車に乗せ、奥多摩湖に向かった。奇妙な縁だが、4人目の被害者Dちゃんの頭部が発見された吉野街道を走行していた。
「八王子市内でわいせつ事件を起こした五日市町の男が、Dちゃん殺害を自供」
カーラジオから臨時ニュースが流れた。心臓がばくついた。わたしは車を急転回させ、西多摩郡五日市町(現・あきる野市)へ向かった。
#2に続く
取材・文・撮影/小林俊之