「うまい儲け話はない」とあらためて伝えよう
10代が巻き込まれる犯罪は闇バイトだけではない。「副業」を名乗る儲け話もある。国民生活センターには、副業サイトで「チャットで相談にのるだけ」というバイトに応募したところ、有料の手続きが必要になったと言われて金銭を支払わされた10代女性の事例が載っている。
そのほか、荷受代行のアルバイトをするために身分証明書などを送ったら、自分名義でスマホ6台などを買われていたケースもあった。本人は家に届いた商品が自分の支払いになっていると知らないまま、言われたとおりに先方に送っていたため、気づいたときには何も残っていないという事例も掲載されている。
副業はSNSでも募集されている。なかには「中学生副業」をうたい、推し活に使うお金を稼ごうと呼びかけているものもある。こうしたアカウントは、「#ジャニオタ」「#ジャニオタさんと繋がりたい」などのハッシュタグを使い、自身もアイドル好きの中学生を名乗ることで、警戒心を緩めようとしている。
筆者が以前こうした「中学生副業」を名乗るアカウントに連絡を取ったところ、副業の内容を説明するマニュアルが送られてきた。初期費用の4000円を支払えば、情報商材販売の方法を手引きするという。SNSを舞台にして、中学生でもマルチまがいの詐欺にあう可能性があるということだ。
もし「闇バイトに申し込んでしまった」「闇バイトをやめさせてもらえない」などの相談を子どもから受けた場合には、警察相談ダイヤル(#9110)、または近くの警察署に相談できる。都道府県警察には少年相談窓口が開設されているので、こちらに相談してもいい。(各都道府県警察の少年相談窓口)大ごとにしたくないと考える親心はわかるが、相手は犯罪組織の可能性が高い。早めの相談が家族を救うこともある。
また、副業トラブルなどの相談に関しては、消費者ホットラインに相談できる。
「うまい儲け話はない」とよく言われるが、お金に困ったときには「こんなに稼げそうな仕事を見つけてラッキーだ」と信じてしまうこともあるだろう。保護者として我が子にできることは、あらためて簡単にお金を稼ぐ方法はないと伝えることだ。
また、闇バイトが上記のような流れで募集を行い、途中で抜けられなくなってしまうことや、一度犯罪組織に個人情報を渡してしまったら、一生不安を抱えて生きていくことになると説明してあげてほしい。
そして、もしトラブルに巻き込まれてしまったとき、子どもがすぐに親に相談できる信頼関係を保つことも心がけておくことも大切だ。
文・写真/鈴木朋子