フリー素材でも無断使用、
商用利用は不可のケースも多い
昨年7月、佐賀県白石町の小学校で作成された「学校だより」。このプリントに掲載された風鈴のイラストが無断使用されたということで、制作者であるイラストレーターが著作権侵害だとして11万円もの賠償金を学校側に請求した。
その風鈴のイラストは、同校の校長が「フリー 無料 風鈴」と検索して入手し、フリー素材だと勘違いして使用してしまったとのこと。学校側は無断使用を認め賠償金を支払ったが、近年こうしたフリー素材を巡るトラブルは増えているという。
「Google検索などで『フリー素材』と調べてみると、大量の画像がヒットしますが、そのどれもが無許可で使用できるものとは限りません。よくよく見てみると、有料の画像がフリー素材サイトから転載されて表示されていたり、『フリー使用は認めていません』という規約の『フリー』の部分にヒットしてしまったりと、本来なら無断使用や無料使用できないものが表示されることもあります。ですからどうしても無料でフリー素材を使いたい場合は、必ず一次出典のサイトを見て、規約を確認してから使用するべきでしょう」ITジャーナリスト・高橋暁子氏、以下「」同じ)
今回のケースは、小学校校長のネット知識が希薄で、フリー素材サイトのものかどうか確認しなかったことが原因なのかもしれない。しかし、フリー素材を扱うサイトにある写真やイラストであれば、どれでも使っていいわけでもないという。
「よくある誤解なのですが、フリー素材であっても原則として著作者に無断で使用していいわけではありません。たいていのフリー素材には利用規約がありまして、そちらを無視して使用してしまうと、著作権侵害に該当し賠償金を請求されるおそれがあります。
たとえば、使用するにあたって許諾申請が必要だったり、クレジット表記が義務付けられていたり、商用利用の場合は使用料が発生したりと、素材によって規約の内容は異なります。こうした規約を確認しないまま使用するとトラブルに発展しかねませんので、事前確認は必須なんです」
大前提として、「フリー素材も著作物である」という認識をきちんと持っておくことが重要なのだろう。
「学校や会社などが組織単位でフリー素材を利用する場合、フリー素材を提供するサイトに登録して利用するのが望ましいでしょう。なかでもテレビ番組でもよく使用しているのを見かけるようになった『いらすとや』のイラストは、法人で商用利用もほとんど無料でできることがウリなので安全でしょう。
無料のサイト以外にも、定額の月額料金を支払えば使い放題というサイトもあります。いずれにしても、組織内で一括管理してそのサイト以外使わないとルール化すれば、今回のように賠償金を請求されるといった事態は起こらないはずです」