地方を見つめだしたきっかけは
地方に関してこのようなよもやま話をしていたら、『「我がまち」からの地方創生』の共著者の神山典士氏から、
「そんなふうに地方を優しい目で見るようになったのはいつからでしたか?」
という質問を受けました。
改めて考えてみると、全国各地を足繁く回るようになったのは、2008年の麻生内閣で農林水産大臣を拝命したときからだと思います。それぞれの地方を訪ねて農業・林業・水産・漁業者たちと膝を交えて話し合いをすることで、大臣として正確なニーズがつかめたと思います。そのためにはその地域のことを知らないと話すら聞いてもらえない。だから一生懸命に地方を回って勉強しました。
それ以前に防衛大臣を務めていたときは、地方とのお付き合いはどうしても基地や駐屯地の所在地に限られ、それほど密ではありませんでした。
その後、自民党が下野して野党になったときには、政務調査会長になりました。このころは自民党と言うだけで石が飛んでくるようなありさまで、政権に戻るなど夢のまた夢、といった雰囲気でした。国民に見放された自民党をもう一度好きになっていただかないといけない、そのためにはまずこちらがうかがわなければ、ということで、足繁く地方を回るようになりました。そういう積み重ねから、2015年に初代の地方創生担当大臣を拝命し、今日の活動に繫がっていると思っています。
最近では、地方創生の一石になればと始めた「ラーメン文化振興議員連盟」の会長を務めていることもあり、地方に講演や選挙応援などで伺うときは、必ずご当地ラーメンや近くのラーメン屋さんの名前を出すようにしています。

ご当地ラーメンや近所のラーメン屋さんの特徴、味、値段等々を盛り込んだ話をすると、地元のみなさんはとても喜んでくれます。やはりラーメンは庶民的だし、ご当地度が高いからでしょうか。地元のみなさんにとっても愛着があるのでしょう。ラーメンの味一つとっても、地方には驚くほどの多様性があって面白いし魅力的だなと思います。
大きな課題は、地方に蔓延している「もういいや」、「そんなことやってもどうせ」という諦め感をどう払拭するか。あと一歩、どうやって地方創生のムーブメントを前に進めるか。全国各地のお国自慢を、どう広めていくか。
もう一押しの工夫とアイデアを、これからも考えていきたいと思っています。
文/石破茂