徹底的に下調べしていく

滋賀県といえば、今回の地方選挙の応援で大津、長浜、米原、近江八幡等、10市町村くらい回りました。

滋賀出身・TMレボリューションの西川貴教が「故郷で錦を飾るのではなく、東京で故郷を自慢する」心で取り組む地方創生_3
滋賀県の象徴である琵琶湖

地方遊説のときは、その地域のことをできる限り調べていきます。人口や産業といったデータはもちろん、観光スポット、神社・仏閣、昔話や伝説、特産品やゆるキャラ、B級グルメなどなど、地元の人が「そんなのあるの? 知らなかった、へーっ」と呟くようなことまで調べていくのです。そうすると地元の人からは、「ここまで調べてくれたんだ」という共感を得られて、受け入れてもらうことができる。

東京からぽっとやってきて地元のことを何も知らないのに「いいところですね」なんて言っても、誰も投票なんかしてくれません。地方創生も同じです。東京からやってきて上から目線で「このさびれたまちを俺たちがなんとかしましょう」なんて態度では、地域の人が受け入れてくれるわけがありません。

その地域の良さに気づき、理解し、掘り起こし、それを最大限に生かす方法を考えて、こんなに素敵なものがあるんだからもっと全国にPRしましょう、売っていきましょう、「一緒にやりましょう」という姿勢が大切だと思っています。

今回の遊説では、近江八幡市が印象的でした。

滋賀出身・TMレボリューションの西川貴教が「故郷で錦を飾るのではなく、東京で故郷を自慢する」心で取り組む地方創生_4
滋賀県・近江八幡市

人口は約8万人。名物といえば老舗のお菓子屋さんがあったりしますが、全く違う歴史的事実に、私の目は釘付けになったのです。

このときのことを、私は「石破茂ブログ」にこう書きました。

「(近江八幡市では)江戸時代に日本を訪れた朝鮮通信使を徳川政権がどれほど厚く接遇したかの記録に接し、深い感慨を覚えたことでした」

「今も昔も朝鮮半島との関係は我が国の命運を左右するものであり、徳川家康の深い洞察に学ぶべき点は多いように思います」

近江八幡に残されている朝鮮通信使を歓待したエピソードは、江戸時代の日本がいかに隣国を大切にしていたか、リスペクトしていたか、という証です。これに感動した私は、関係者のみなさんにこう呼びかけました。

―—この近江八幡に残された日韓の歴史をもっと両国にPRして、近江八幡から新しい日韓関係を築いていきましょう!

ところがここでも周囲からの反応は「へーっ」、「ふーん」というものばかり。そんなものが地域活性化の鉱脈になるの? と、みなさん半信半疑なのです。

こういう反応がもどかしいところです。地元の人にとっては当たり前のこと、既知のことでも、よそ者にとっては興味深いものであり、外交的には非常に価値のある歴史です。
そういうところを逃さずにPRして、まちのブランドに繫げるセンス。これが求められているのです。