「曹士の人柄や態度、実践に感銘を受けたから4年間を全うできた」

それでも、本田さんは最後に言った。

「世間、国民の皆さんには、防大の置かれた状況だけをみて、防衛省・自衛隊を役立たずの組織、酷い組織だと即断していただきたくはありません。等松先生の告発も、その後の専門家の論説や記事も、国防における防衛省・自衛隊の重要性を『ゆるぎない前提』として『改善するため』になされている議論でしょうから。

【シリーズ:防衛大論考――私はこう読んだ】で等松教授の論考について言及した石原俊教授
【シリーズ:防衛大論考――私はこう読んだ】で等松教授の論考について言及した石原俊教授

『改善』を目指す取材であるため、私も主として『問題』についてお話ししましたが、指導官として補職されてこられた方々には、毅然と、そしてフェアに学生を監督する素晴らしい幹部自衛官の方々も、たくさんおられました【8】

私が防大で4年間を全うすることができたのは、毎年の訓練でお目にかかった部隊の皆さん、とくに曹士の人柄や態度、実践に感銘を受けたからです。尊敬すべき下士官の皆さんの前に、堂々と立てるほどの研鑽を積めなかった自分を恥じる気持ちもあります。

このような状況下にあっても真面目に頑張ってくれている方々や、私がお世話になった方々のためにも、さまざまな現状から目を背けず、本館の方々に一考していただくことを祈ります」

衷心より発せられた彼女の言葉は、はたして「本館」に届くだろうか。

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【6】編集部は当該の学生に面会し、身分確認をおこなった。匿名での情報提供が条件とされたため、個人特定につながる情報を一部変更した。

【7】居室の構成は、年間に3度入れ替えがおこなわれる。


【8】「学生舎の監督管理は特殊な職域なので、指導官の中には、真摯に向き合ったがために、学生と同じように心身を病むかたもいらっしゃいます。理想を申し上げれば、指導官として補職される際には、学生管理のための一定の教習課程を設け、防大内に指導官の悩みに答える『第3者機関のカウンセラー』を置くのが効果的ではないでしょうか」(本田さん)

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