酔った男子学生が嫌がる女子学生にセクハラ

「6月に第2大隊前の路上でおこなわれたバーベキューで、酔った男子学生が衆人環視のなかで、嫌がる女子学生の身体を無理やり触り続けるという事件がありました。最終的には、周囲の学生らに制止されましたが、指導官は警務隊に報告せず、学生の風紀委員が点呼の際に口頭注意したのみです。

女子学生への公然セクハラ、シャワー室の盗撮、頻発する窃盗事件…問題だらけの防衛大でそれでも私が4年間退校せずに全うすることができた理由【学生たちの証言】_2

また、4月に4大隊で起きた3階シャワー室の盗撮事件。これは警務隊が扱いましたが、隠しカメラを設置して女子学生の裸を撮影して、盗撮したデータを他の学生たちと回覧した主犯の学生ふたりは、中隊の学生長と副学生長でした。それなのに、彼らは反省部屋(服務室)に入れられただけで、いまだに在学しています。本来は、退学相当じゃないですか。もっと酷いものでは、67期(今春卒業した期)の女子学生に対する性的暴行事件もありました」

この証言を受けて、編集部は防大に事実確認をおこなった。まず、第2大隊前の路上でおこなわれたバーベキューにおける「性的暴行」について、防大はこう回答した。

〈現在、細部の調査を慎重に進めているところであり、判明した事実関係に基づき、厳正に対処致します〉

そして〈学生から報告を受けた指導官は、なぜ自ら対応するのではなく、加害行為の処理を中隊(学生)に委任したのでしょうか〉との編集部の問いかけに対しては、〈被害学生が警務隊に対する被害届の提出を希望しなかったことから警務隊には通報していません〉と回答した。

だが、「被害者が希望しなかったから、指導官は通報しなかった」という釈明は、まさに〈細部〉のごまかしそのものであると、立花さん(前出)は怒りを露わにした。

「時系列がまったく違います。まず指導官は、彼女(被害学生)の話をまともに聞こうともせず、中隊(学生)に任せました。これが発端です。その一方的なやり方にショックを受けた被害学生と、怒った4学年の部屋長たちはその後、自分たちで警務隊に通報しようとしたんです。ところが、通報の直前になって被害学生のフラッシュバックがさらに悪化しました。
彼女は心配してくれた部屋長たちを巻き込みたくなくて、警務隊への通報を諦めたのです」(立花さん)

女子学生専用のシャワー室での盗撮事件について、主犯とされる中隊学生長および副学生長に対して〈現在までにどのような処分がなされたのか〉という編集部の質問に対して、防大は次のように回答した。

〈現在、細部の調査を慎重に進めているところであり、判明した事実関係に基づき、厳正に対処致します〉

67期の女子学生に対する性的暴行事件については〈調査の結果、判明した事実関係に基づき、厳正に対処しました〉(防大)とのことだが、具体的にどう〈対処〉したのかは開示されなかった。