閲覧できる情報の期間は最大で3〜5年

西村智奈美議員は直前の長妻昭議員と同様、紙の健康保険証廃止はやめるべきという立場で質問。その中で、医療DXの実現性に関連して「閲覧可能な情報の期間」、「レセプト(医療機関が保険者に提出する月ごとの診療報酬明細書)の反映時間」の2点を順に質問した。

*上記は当該質疑の論点を筆者が図解した全3分の質疑映像。外部サイト等で動画を再生できない場合、筆者のYouTubeチャンネル「犬飼淳 / Jun Inukai」で視聴可能。動画タイトルは「マイナ保険証は医療DXを実現しない」

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【西村智奈美 議員】マイナ保険証で医師が閲覧できる情報はどの期間でしょうか?

【加藤勝信 厚労大臣】特定健診情報は過去5年分が対象で、現時点では令和2年度以降が対象です。レセプトの中の薬剤情報は過去3年分で、現時点では令和3年9月以降が対象。(レセプトの)診療情報も過去3年分ですが、令和4年6月以降の情報を収載しているところです。これらが患者さんの同意を得て、医療従事者の方が閲覧できるようになります。

出典:2023年7月5日 衆議院 閉会中審査
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1つ目の質問である「閲覧できる情報の期間」の答弁を情報の種類ごとに整理すると、以下のようになる。

・特定健診情報は5年分   *現在は3年強(2020年度以降が対象のため)
・レセプト(薬剤情報)は3年分  *現在は2年弱(2021年9月以降が対象のため)
・レセプト(診療情報)は3年分  *現在は1年強(2022年6月以降が対象のため)

*各情報の中身は厚労省「診療/薬剤・特定健診等情報」 参照

要は、全3種類の情報が上限まで溜まる2025年以降であっても最大3年分(もしくは5年分)の情報しか医療機関は閲覧できない。これでは医療DXを謳うにはあまりにも不十分ではないか。西村智奈美議員も下記のように率直に指摘したが、加藤厚労大臣は全く反論できなかった。

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【西村智奈美 議員】今、普通に初診のお医者さんにかかった時に「大きな病気したことありますか?」と聞かれて、私たちは10年前の大病だろうが20年前の大病だろうが、口頭でお伝えしています。ですから、この(最大3年もしくは5年という)期間が本当に適切なのかと私は思います。

出典:2023年7月5日 衆議院 閉会中審査
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