「ともちゃん」という名前で知られた存在だった
調べによると親娘は共謀し、7月1日深夜から同2日未明にかけ、札幌・すすきののホテル2階の客室の浴室で、鋭利な刃物のような凶器でAさんの首を切断して持ち去り、遺体を放置した疑い。防犯カメラの映像などから、Aさんと客室に入ったのは瑠奈容疑者だけで、父親は入っていないとみられる。瑠奈容疑者は修容疑者と母親の長女で、同区の自宅で3人暮らし。捜査本部は24日朝から自宅を家宅捜索しており、押収した資料の分析などから事件の全容解明を図る。
Aさんは1日に同区内で開催されたLGBT関係者が集うディスコイベントに参加しており、当日はスカートを穿くなど女装していた。防犯カメラの映像などによると、Aさんと瑠奈容疑者は午後11時ごろに同ホテルの202号室に入室、約3時間後の2日午前2時ごろに瑠奈容疑者が1人で出ていった。この際、瑠奈容疑者はフロントに「先に1人で出ますので、部屋の鍵を解錠してください」と連絡を入れたうえ、数分後に堂々と出ていったという。
Aさんは女装愛好とともに、“界隈”では性にリベラルで奔放なことでも知られていた。札幌随一の繁華街・すすきのの特殊な趣味を持つ人が集まる老舗会員制バー「B(仮称)」では「ともちゃん」という名前で知られた存在だったという。Aさんを同店に出入りできるように紹介した「B」の常連客であるサトウさん(仮名)はこう証言した。
「最初にAさんと出会ったのは、北海道伊達市の北湯沢にあるKという名前の混浴温泉です。ここは家族連れや普通のカップルも来る川沿いの温泉なのですが、我々の“界隈”のなかでも有名なスポットでした。男女カップルや単独で来た男性客が、女性の裸を鑑賞して、双方でその反応を楽しむ文化があったのです」
この温泉は現存するが、今はオーナーとともに名称も変わり、“界隈”の人々も寄りつかなくなっているという。サトウさんが続ける。
「以前からAさんはそこに単独男性として来ていて、女性やカップルの裸を覗き見をしていました。ちなみに、混浴風呂で覗き見することを“ワニ”と言います。そのうちAさんはワニだけでは満足できなくなったのか、私にすすきのの“特殊”なバーに『(店は紹介制のため)入店できるように繋いでほしい』と言ってきたので、『B』のオーナーに紹介しました。Aさんはこのとき、名前は名乗りませんでしたが、『恵庭市在住で女装が趣味』と言っていました。今回の事件を受けて『B』の店長からも『サトウさんから紹介された男が首なし殺人の被害者だ』と連絡がきたので、間違いないですね」