ベッドの乱れはなく、歯ブラシやティッシュなどもそのままの状態

社会部記者は捜査が難航している要因をこう語る。

「道警は当初、Aさんは同性愛者の可能性もあるとみて関係者の割り出しに力点を置いていました。実際、ホテルにチェックインした際にAさんは白いブラウスにスカート姿で、連れも女性の服装をしており、女装したゲイ同士のトラブルかと思われましたが、実はAさんは『女装愛好家』であっても同性愛者ではなかったようです。
現場の浴室にあったのは首のない遺体だけで、スマホや洋服などAさんの身元の特定につながるものは一切残されておらず、この“連れ”イコール“容疑者”が全て持ち去ったとみられています。スマホにはAさんの交友関係やさまざまな立ち入り先などの情報があるのは間違いない。そこにアクセスできないことで、絞り込みの作業が遅れている感は否めません」

イベントに参加していたAさん(右)
イベントに参加していたAさん(右)
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また、衝撃的な事件を受けて営業停止になったホテルの営業再開の見通しも不透明なままだ。ホテル関係者が当日からの経緯を詳細に証言した。Aさんら2人のチェックアウトの時刻はそもそも7月2日の午前11時だった。

「チェックアウトの時間をすぎても一向に部屋から出てこないことを不審に思ったスタッフが、午後3時ごろに部屋を確認しに行きました。ドアを開けて声をかけても反応がないので、部屋の隅々まで確認したのですが、異臭などは何もせず、備品を使った形跡もまったくなかったそうです。ベッドシーツの乱れもなく、備え付けの歯ブラシやティッシュなどもそのままの状態で、ベッドシーツに関してはベッドメイクの経験のある方が直したのでない限りは、使用前の状態と変わらない状態でした」

事件から1週間、道警捜査員はホテル前で聞き込みをおこなった(撮影/集英社オンライン)
事件から1週間、道警捜査員はホテル前で聞き込みをおこなった(撮影/集英社オンライン)

そしてスタッフは、最後に風呂場を確認した。

「浴室のドアを開けて中に入ったところ、最初に目に飛び込んできたのは被害者の背中。全裸で体を浴槽に向けて、洗い場の床に手をついて土下座をしているように見えたそうです。体やお風呂場に血が飛び散っているわけでもないので、最初は首がないとは気づかずに『お客様、お客様』と声をかけても何の返答もなく、まったく動かない。その時点で『おそらく亡くなっている』と怖くなり、回り込んで確認することができず、すぐに119番通報しました。スタッフは直感というか体のラインなどの雰囲気からか、最初は『女性が亡くなっている』と思ったようですね。通報を受けて救急隊員が入ってこられ、首なしの遺体だと言うことが確認され、警察が来たという流れです」

第一発見者にとっては、回り込んで確認しなかったことが不幸中の幸いだったようだ。「首なし遺体」だったことは、現場に臨場した救急隊員と警察官との会話で、間接的に知ったという。