「ホルモンの乱れは本当に怖い」
2016年4月から翌年6月までAbemaTVにて放送されたryuchellさん初の冠番組「りゅうちぇる×ちゃんねる」で関わったスタッフは当時を振り返った。
「制作陣も6人ほどの低予算でしたが、ryuchellさんは初の冠番組に本人もとても気合が入っていました。ryuchellさんはいい意味で芸能人ぽくなく、現場にはいつも一人で来ていました。普段から周りに感謝し、スタッフみんなへの挨拶やフランクに雑談もしてくれるような方でした。それに、街ロケで一般人に悩みを聞くという場面でも、真摯に話を聞くだけじゃなく、カメラが回っていないところでも一般人とコミュニケーションを取るような誠意さがありました。歩き途中に話しかけられても対応していたし、話を聞いた一般人からの写真撮影にも応じてたくらいです。裏表のない方でみんなから愛されていました」
今年4月にアジア最大級のLGBTQのイベント「東京レインボープライド2023」でヘッドライナーとして出演したタレントの美川憲一氏もその死を悼んだ。
「楽屋にryuchellさんが挨拶に来てくれたの。 “あなた、自分磨きして美しくなっていいじゃない”と言ったのだけど、以前にテレビで見かけた時よりも痩せた気がしたから“大丈夫なの、頑張んなさいよ”と声かけたのよ。そしたら“ありがとうございます”って人なつこく笑ってたわ。なんだか元気がないように見えたから心配してたのよ。そうしたらこんなことになってしまって」
美川氏はryuchellさんの今回の一部で報じられた“ホルモンバランスの悪さ”を思い悩んでいた点についても触れた。
「私も夜の商売人の知人から、男性が女性ホルモンの注射を打ち“鬱っぽくなってしまった”という数々の悩みを聞いたわ。ホルモンの乱れは本当に怖い。私も5年前に疲れやすくなって珍しくネガティブになったの。なんだろうと血液を調べたら男性ホルモンが通常数値の3分の1しかないって言われて。そこで男性ホルモン補充の治療を始め、今も半年に1回は打ちにいってるわ。ryuchellさんは女性になりたい、美しくありたいという願望の反面、男性として父親としての責任もあって、子供に申し訳ない気持ちもあって思いつめてしまったのかしら」
一方でryuchellさんが受けていたとされるSNSの誹謗中傷については、強くこう発言した。
「私もかつては世間から総バッシングを受けて、それはもう崩れそうになったときもありました。でもね、自分自身をそのどん底から立ち直らせるのは他の誰でもなく自分しかいないの。とにかく人間、大事なのは開き直りと強さ。ryuchellさんに自分の生き方を全うしてほしかったわ。それに誹謗中傷する皆さんには、一度、人を傷つける言葉を吐き出すのは簡単だけど、それを受けた人がどう思うかを考えてほしいわね」
美川氏は最後に「人は誰もが強くもあるけど脆いのよ。誹謗するより励まし合って生きましょうよ」と付け加えた。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班