今年2月に創刊し、7月には第2号目が発売された新雑誌『WaWian』(ウェウィアン)。

「理解のない人も排除はしない」LGBTQ+向けファッション誌『WaWian』の志と存在意義_1
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コーディネート紹介ページから始まり、おすすめアイテムカタログ、私物取材、メイク講座などと続くファッション誌だが、男性向けあるいは女性向けの既存誌とは大きく異なる特徴を持っている。

『WaWian』は、おそらく日本初の、LGBTQ+に特化したファッション誌なのだ。

「理解のない人も排除はしない」LGBTQ+向けファッション誌『WaWian』の志と存在意義_2

冒頭に登場するモデルの名前の横に、“ノンバイナリー”“Xジェンダー”“ジェンダーレス女子”“ジェンダーレス男子”などとクレジットされていることからも、この雑誌のユニークな立ち位置が窺える。

誌面には他に、女装家、男装家、男の娘なども登場。それぞれ自分の色を持ち、独自の表現をしている。性自認にかかわらず、そういう人々の居場所になることを目指していると語る編集長は、自身もモデルとして誌面に登場する、萌茶(もちゃ)さんだ。

性自認は気づくものではなく、自然にそうなるもの

――萌茶さんはご自身のことを、 “Xジェンダー”や“ノンバイナリー”と自称されていますが、その言葉の指す意味を教えていただけますか。

“Xジェンダー”というのは自分の性自認が定まってない人のことで、中性、両性、無性、不定性という4つのタイプがあります。中性は男性と女性の中間ぐらいだと思っている人、両性は男性でもあり女性でもあると思っている人。無性は男性にも女性にも当てはまらないと思っている人。不定性は性自認に波があり、月単位や週単位で性別が変わる人もいれば、日によって、その日の中で変わる人もいます。

――“ノンバイナリー”は、男性、女性といった枠組にあてはめられない性自認を持つ人のことですから、Xジェンダーの無性タイプに近いですね。萌茶さんはほかにも、“ジェンダーレス男子”と自称されてもいるようですが。

私自身、「自分が何者なのか」がいまだにわからないところがあります。だから誌面でもノンバイナリーと書いたり、Xジェンダーと書いたりと揺れ動いているんです。そういう意味では“クエスチョニング”(編集部注:自己のジェンダーや性同一性、性的指向を探している状態の人々)というのが1番近いのかもしれません。

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――萌茶さんが、ご自身をXジェンダーあるいはノンバイナリーではないかと気づいたのはいつ頃ですか?

それがちょっと難しくて……。「いつ頃」というのは特にないんですよ。気づくという感じでもなく、自然にそうなっていたので。

――そうですか。この質問は、こちらの理解の乏しさによるものかもしれません。失礼しました。

いえいえ、大丈夫です。

――ジェンダーレスやLGBTQ+というキーワード自体は、以前よりも一般的になってきましたが、萌茶さんご自身はどのように感じていますか?

東京レインボープライドのようなイベントの盛り上がりもありますし、社会の理解はだいぶ進んできているとは思います。ただし個人レベルになると、LGBTQ+当事者に接する際に、まだ抵抗感を持つ人が多く、偏見も残っていると感じることはあります。

――壁を感じることは多いということですか。

そうですね。言葉として理解していても、実際にそういう人と接するときには、つい構えちゃう人が多いのかなと思います。