20代でいきなり経営者に

中島 中国の若いデザイナーや経営者は、欧米や日本に留学している人が多いんです。中国の90年代生まれの人たちは、世界中のセンスの良いものを学んでいる人が多くて、そのデザイン力と中国の資本力をミックスして、新しいブランドを次々と立ち上げています。最近見ていて、若い経営者が本当に多いな、と感じます。

綿矢 日本よりもお金持ちというか、経営者になる人の年代が若いと、ご著書にも書いてありましたね。

中島 日本に来た中国人留学生は、日本の有名企業にも就職していますけど、最近は就職するだけじゃなくて日本で起業し、20代でいきなり経営者になる人も増えています。

綿矢 そんなに若いうちから成功するのは、日本人だとなかなか難しいですよね。

中島 そうですね。中国と日本ではいろいろなことの世代が10歳以上違いますね。たとえば役職でも、日本で部長と言ったら40代、50代が中心ですけど、中国では30代も多いんですよ。

綿矢 中国のドラマを見ていても、時々混乱しちゃいます。すごい若い社長が社内を歩いて、周りの社員がバーッと頭を下げてるシーンなんかを見ると、こういう設定が中国の人は好きなのかな、異常に若い社長が格好良く見えるのかなと思っていた時期もあったのですが……

中島 現実なんです。

綿矢 オドロキです(笑)。若くても地位があるというのを一種の理想像として描いているのかと思っていましたが、ほんまにいるんや、と驚きました。日本ではそんな人なかなか見かけませんものね。

中島 コロナ前、中国人が日本に旅行に来たとき、日本の店員さんたちは、中高年はお金を持っていて、若い人達はあまりお金を持っていないだろうという先入観があるので、若い人がブランドショップに入ってきてもそっけない、ということがあったらしいのですが、日本に旅行に来られるような中国人の中には、若くてもお金を持っている人がかなりいるんです。

綿矢 インスタで、日本に来た中国の若社長がすごい散財しているのを見ましたが、60代くらいの子どもを育て終わった人のような消費の仕方をしていて、信じられないような気持ちになりました。国の違いを感じました。