15万部超えのヒットとなったシリーズも。
子供向けマネー本の数々
近年、マネーリテラシーにまつわる本のヒットが相次いでいる。
100万部突破の『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著/朝日新聞出版・2020年)、48万部を超えた『ジェイソン流お金の増やし方』(厚切りジェイソン著/ぴあ・2021年)など、難しい金融知識よりも「稼ぎ方」や「増やし方」、「守り方」など、実利的なことをわかりやすく紹介するものが人気だ。
そしてこの傾向は大人向けだけにとどまらない。書店の児童書コーナーに足を運ぶと、絵本の老舗版元や大手出版社が刊行する「10歳から〜」「小学生から〜」といった子供向けの「お金の本」が多数並んでいる。
旺文社の人気子供向け実用書シリーズ『学校では教えてくれない大切なこと』からは、「お金のこと」(シリーズ3作目・2015年)「お金が動かす世界」(シリーズ33作目・2021年)と、「お金」をテーマにしたものがすでに2冊刊行。
『アンパンマン』で知られるフレーベル館からは『100歳2億円にふりまわされない! 12歳からはじめる Oh! 金の学校』(2022年)が出ている。
そして絵本を中心とした児童書の専門出版社、えほんの杜からは、親子のための金融教育をうたう「キッズ・マネー・ステーション」を主宰する八木陽子氏監修の本が出版されている。
『10歳から知っておきたいお金の心得~大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方』が2019年に15万部を超えるヒットとなり、2022年には続刊『今から身につける「投資の心得」~10歳から知っておきたいお金の育て方』も刊行された。
また、小学館からは投資家の村上世彰氏による教育マンガ『おかねの攻略法~ミライの攻略法~』(2022年)が出版されている。こちらも帯には「10歳から」と大きくうたわれている。
これらの本を読んでみると、「子供向けのお金の本」というイメージ通りの「おこづかいの使い方」から、「景気の変動」「円安・円高」「年金や社会保障」などをイラストやマンガで解説することで学校教育の補足になりそうなもの、さらには子供も利用する機会が増えた「キャッシュレス決済」の解説まで、取り扱う内容は実に幅広い。
過去にも『お父さんが教える 13歳からの金融入門』(デヴィッド・ビアンキ著/日本経済新聞出版 ・2016年)といった子供に向けた金融本のヒットはあったが、ここ数年で一気に増加した感がある。
書店に並ぶこうした本の背を見ていると、余計なお世話と思いつつも、「子供にお金の話をする本がこんなに流行するのはいかがなものか?」という思いも生まれてくる。