自分がキュレーターになる「セルフビルド方式」で
守備範囲を広げていく

また、選び抜かれた「大事な情報」の中には、もちろん自分に合わないものも含まれています。そして、こういうケースはどうしても「役に立つから我慢して読む」といったかたちになりがちです。

ワクワクするはずの「気に入ったものを読む」という行為が、イヤイヤやる「勉強」になってしまう。これでは続きません。

「きっと役に立つから我慢して読む」は無意味。楽しみながら読むためには「ざっと読む」と「ちゃんと読む」を使い分けて_3
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いっぽう、自ら大量の情報に触れて選ぶアプローチは、自分自身がキュレーターです。自分の興味や関心、志向性、好みにバッチリ合うものを選んでじっくり付き合っていくので、楽しみながら頭にいれることができます。

自分よりジャーナリストや書評家の方がカバーしている情報は広いかもしれませんが、習慣としてずっと続けていくことを考えれば「セルフビルド方式」の方がいいのです。

仕事や学業をしながら、さまざまなメディアの情報に目を通すのは大変だと思うかもしれません。しかし、このふるいにかける行為自体、多様な言葉に身をさらすことであり、読み方のトレーニングになるのです。

続けているうちにそれほど負担を感じなくなる。日頃から徒歩や自転車で移動するようにしていれば、勝手に体力がついてくるのと同じです。

最初はできる範囲で大丈夫です。たとえば新聞1紙と雑誌1誌から始めて、力がついてきたら経済紙に月刊誌、専門誌、と広げていく。対象が広がれば広がるほど「選抜組」の魅力はアップするわけで、自然とリーディングにも身が入るようになるでしょう。

また、この大量ブラウジングの途上には、スクラップしたい傑作記事に出会ったり、定期購読する雑誌を探したりといったささやかな楽しみもあります。
義務感でやっても続きません。習慣化するには、心を踊らせながら取り組めるような仕組みが大切です。

#1『SNSでバズる文章を書くためには、あえてコスパの悪い「新聞や雑誌を破りながら読む」が必要! プレゼン能力向上にも最適な「ちゃんと読む」習慣とは』はこちらから

#3『「頭に入ってこない」「なんとなく読み応えがない」文章を“記憶に残す”意外なテクニック 』はこちらから

ちゃんと「読む」ための本 人生がうまくいく231の知的習慣(PHP研究所)
著者:奥野宣之
「きっと役に立つから我慢して読む」は無意味。楽しみながら読むためには「ざっと読む」と「ちゃんと読む」を使い分けて_4
2023年4月22日
¥1,760
‎ 352ページ
ISBN:978-4569854489
毎日5分だけ文章を味わえば、人生が変わる!「本を読む時間がない」「集中できない」と嘆くあなたに朗報!累計70万部超の「情報整理の達人」が教える、書く力と話す力を同時に伸ばす「すごいリーディング」

「タイパ(タイムパフォーマンス)が悪い」からと読書を敬遠する人が増えている。
だが、本に限らず何かをじっくり読むと、知識以上に得られるものは多い。なにより「言葉を扱う能力」が劇的に向上する。それは著者自身が経験し、証明してきたことでもある。本書では、新聞記者、ライター編集者、作家として20年にわたり「文章」を扱ってきた著者が実践し続ける、「スマホと距離を置く方法」や「自分に大切な文章だけを頭に残す方法」などを公開(その数、じつに231!)。本に線を引いたり、新聞を切り抜いたりして印象に刻むなど、一見するとコスパが悪そうな「習慣」ばかりだが、あなたの人生にきっとプラスになる。読む力が落ちていると言われる現代人に向けて、“丁寧に読む面白さと気持ちよさ”を教えてくれる。「近ごろ読書不足だから、ちょっと読んでみようか」といった気持ちで、ぜひ本書を手に取ってほしい。
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