自分の居場所を複数化すべし

だとすれば、わたしたちのやるべきことは、ただひとつ。自分の居場所を複数化しておくこと。これに尽きます。ちょいちょい顔を出せるサークル、挨拶できる人がいる教室……そういう場所の中に「居ても辛くないな」と思える場所があったら、ぜひ大事にしてください。

同時に、図書館や学食など、ひとりでのんびり過ごせる場所の開拓もしてください。「ぼっち」という言葉がありますが、わたしはぼっちもいいものだと思っています。孤独を飼い慣らす技術を身につけておくことは、大学生活だけでなく、今後の人生をサバイブする上で、かなり重要だからです。

それから、居場所の複数化に関しては、もうひとつオススメがあります。それは、学部・学科関係なくおもしろい授業をチェックしておくこと。ほんのヒマつぶしのつもりでいいのでやってみてください。しばらくすると自分の「教養の幅」がびっくりするほど広がっていることに気づくはずですから。 

学び上手な学生はなぜ五月病にならないのか? 社会人も見習いたい「自分の居場所を複数化する」技術_3
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サークルの部室に入り浸っていたダメ学生のわたしも、授業の情報収集だけは熱心にしていたんですよね。サークルの先輩に「なんかオススメの授業ありませんか?」と訊いたりして。そして、実際に聴講に行ったりもしました(本来出るべき授業をサボって聴講していたので別に偉くはないのですが)。

他学部の授業、全然知らない学問領域の授業でも気にせず聴講しに行きました。大人数講義はそーっと潜っていましたが、少人数のゼミなどでは先生に許可も取らなきゃいけないし、みんなの前で自己紹介もしないといけない。面倒くさいのですが「よそから見学者がやってきたぞ」というので、新しい人間関係が生まれたりもする。

そんなことをやっているうちに、サークルの部室サイコー! と思っていた自分の視野の狭さが少しずつ改善されていきました。部室で遊ぶのもいいけど、遊ぶように授業を受けるのも楽しいな。そんな気持ちになってきたんですね。

今の学生を見ていても、学び上手な人はあちこちの授業をつまみ食いするように見て歩いていますし、聞き取り調査では「他学部の授業、しかも発表とかグループワークをする授業を履修するようにして、知り合いを増やした」という人がいたりもしました。聴講ではなく履修というパターンももちろんアリです。単位も貰えて知り合いも増える、とても賢いやり方だと思います。

たかが中だるみと侮ることなかれ。「閉じるなキケン!」の精神で、居場所の複数化に取り組み、見聞を広めておくこと。それが、この先の学生生活を快適にしてくれるのです。

文/トミヤマユキコ 写真/shutterstock pixta イラスト/小幡彩貴

文庫版 大学1年生の歩き方
著者:トミヤマ ユキコ
著者:清田 隆之
学び上手な学生はなぜ五月病にならないのか? 社会人も見習いたい「自分の居場所を複数化する」技術_4
2023年3月17日発売
770円(税込)
文庫判/232ページ
ISBN:978-4-08-744505-3
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