とか言ってるわたしも、実は結構危なかったんです。授業よりサークルが楽しくて部室に入り浸っていました。小さなバンドサークルだったのですが、半分プロみたいな活動をしている人もいて、都会的でとにかくオシャレだった。しかもトーク上手な先輩が多くて、教室にいるより、部室にいる方が何倍もおもしろい話が聞けてしまうのです。「こりゃ教室で授業なんか出てる場合じゃねえ!」……そう思ってしまったら、もうおしまい。

日が暮れるまで部室で粘り、夜になったら飲み屋に移動して一日が終わることになります。わたしには、竜宮城から帰ってきておじいさんになっちゃった浦島太郎の気持ちがよくわかります。もう日常ヤダ。ずっと非日常でいい。部室は、わたしにとって楽しすぎる非日常、抜け出せない魔窟でした。

それでもどうにか学生の本分を忘れずにいられたのは、その魔窟に同じ学部、同じ授業を履修する女友だちがいたからです。「さすがに今日の授業は出とくか」「そうだね」と言い合える人がいた。「ずっと部室にいたい!」と叫びながら、ゾンビみたいに這って授業に出ていました。あの友だちがいなかったら、どうなっていたことか……かずなちゃん、あの時はマジでありがとう!

高確率で別れる「閉じたカップル」

わたしはサークル活動にハマってしまったタイプですが、恋愛にハマるタイプもいて、これはこれで危険です。恋人のアパートに入り浸り、授業に出てこない人もヤバいのですが、授業に出てきても「ふたりの世界」って感じで、周りが見えていないカップルが特にヤバいと感じます。

大変申し訳ないのですが、新入生カップルは、その後、高確率で別れます……。もちろん、ずっと仲が良くて結婚までいくカップルもいるにはいるのですが、それはかなりのレアケース。たいていは、一気に盛り上がり、一気に冷める!

学び上手な学生はなぜ五月病にならないのか? 社会人も見習いたい「自分の居場所を複数化する」技術_2
写真はイメージです

そして別れた途端「うわー! 1年から恋愛なんてしてる場合じゃなかった! 2年からでも良かった!」みたいなことを言い出します。ふたりの世界に閉じこもっている間に、周りのみんながどんどん人間関係の輪を広げ、学生として成長しているのを見ると、やっぱり焦ってしまうんですよね。

サークルにせよ、恋愛にせよ、自分だけの心地よさを優先するあまり「閉じた環境」にいると、その後の学生生活がちょっとずつ不自由になっていくように思います。そして、いったん閉じた環境を再び開かせるのは、かなりしんどいことです。