まだ引退するほど、仕事に飽きていない
――プライベートのお話もお聞きしたいのですが、地域の仲間と親しくしている『それいけ!ゲートボールさくら組』の桃次郎さんのように、藤さんご自身もご近所付き合いをされていらっしゃるんですよね。
そうなんです。だけど、近所の人たちが集まっている店が、やっぱりコロナの事情もあって閉まっちゃいましてね。行き場がなくなってしまったんです。みんな僕が俳優の仕事をしていることを知っているし、年寄りだからと色々気遣ってくれたりもして……。以前はバーベキューをやったり、しょっちゅう集まっていたのに、ちょっとさみしいですね。
――早く集まれるといいですね。藤さんは、ご自宅でお料理もされるそうですね。
はい、毎日買い物して料理をします。
――スーパーで騒がれませんか!?
もう半世紀も住んでいるところのスーパーだから、全く騒がれません(笑)。でも、今日はもう料理はしないで、インタビューが終わったら崎陽軒のシウマイ弁当を買って帰ろうと思っています。
――シウマイの数、減っちゃいましたよね……。
えっ、そうなの!? いやぁ、スーパーに行っても、値段は前と同じでも、鮭の切り身が薄くなってたりするからねぇ。
――『それいけ!ゲートボールさくら組』でのユニフォーム姿も、筋肉質でおじいさん感があまりなく、すごく素敵だなと思って見ていました。
錯覚ですよ(笑)。
――最近も鍛えていらっしゃるんですよね?
まあ、公園を散歩したり、階段をちょっと無理して上がったり降りたり、ベンチで腕立て伏せをしたり、鉄棒にぶら下がってみたり、その程度のことをできる範囲でやっているくらいです。ある程度、トレーニングしておかないとケガしちゃいますから。やっぱり、ちゃんと仕事に向き合える体でいないと。運動は昔からやっていたのでね。一応、アクション俳優もやっていましたから。
――これからも、藤さんの出演作をたくさん拝見できるのが楽しみです。
この映画のほかに、あと2本、すでに撮影が済んだ映画があります。また、だいぶ違う傾向の作品ですよ。まだ引退するほど、飽きていないですからね。体力が持つように健康でいないと。丈夫なほうが勝ちですよね。
――もし機会がありましたら、またテレビドラマにもご出演していただけたらうれしいです。
テレビは昔ずいぶんやったから、どうでしょうねぇ。でも、また機会があって、おもしろそうなら出演しますよ。
取材・文/清水久美子 撮影/石田壮一
藤竜也 ふじ・たつや
1941年8月27日生まれ、神奈川県出身。『愛のコリーダ』(1976)で報知映画賞最優秀主演男優賞、『村の写真集』(2003)で上海国際映画祭最優秀主演男優賞、『龍三と七人の子分たち』(2015)で東スポ映画大賞主演男優賞を受賞。そのほか、主な出演作に『愛の亡霊』(1978)、『アカルイミライ』(2002)、『台風家族』(2019)などがある。100 本以上の映画に出演し、1960年代から現在まで第一線で活躍し続けている。
『それいけ!ゲートボールさくら組』(2023) 上映時間:1時間48分/日本
76歳の織田桃次郎(藤竜也)は、学生時代に青春を謳歌したラグビー部のマネージャーだった木下サクラ(山口果林)と再会し、彼女が経営するデイサービス“桜ハウス”が倒産の危機と知る。桃次郎は桜ハウスの知名度を上げるために元ラグビー部の仲間を集結させ、ゲートボール大会での優勝を目指すことに。
5月12日(金)全国ロードショー
配給:東京テアトル
公式サイト:https://gateball-movie.jp/
©2023「それいけ!ゲートボールさくら組」製作委員会