急な異動やクビ宣言も春に多い
怒涛の4月が終わるとゴールデンウィークがやってくる。保育園になじめなかった子どもは、連休を迎えて「もうあそこに行かなくていいんだ!」と思ってしまう。そんな子どもを休み明けに保育園に連れて行けば、4月末にようやくおさまった“登園しぶり”が復活。再び毎朝泣くようになってしまうのだ。
入園児が本格的に落ち着くのは5月半ば以降。ただその頃には梅雨が始まり、感染症が増えてくるのもまた悩みの種だ。
さて、この時期の公立保育園では保育士の配置転換もある。公務員の常勤保育士が他の園に行くこともあれば、非正規労働をする若い保育士が派遣切りにあうこともこの時期にはよくある。
産休や病休になった常勤保育士の代わりだと、1年未満で所属園が変わったり、月末に突然、「今月で勤務は終了」と告げられることさえある。園児や保護者に最後の挨拶をすることもできず、急にロッカーの荷物をすべて引き上げなければならなくなった保育士の気持ちは穏やかではない。
4月から別の園に勤務することになった公立の派遣保育士(30代・女性)は「こういうことが毎年のようにあるので、これはもう保育士の春のあるあるです」とぼやく。
彼女は今春から別の園に移って、午前7時から午後1時まで働き通しの早番専門となるようだ。6時間休憩なしで、お昼ご飯を食べるのは退勤後だという。保育士は子どもの命を預かる大事な仕事だ。使い捨てのコマのように扱う現状が、改善される日はいつか来るのだろうか。
取材・文/大川えみる
集英社オンライン編集部ニュース班