春の保育士は重労働すぎて帰宅後気絶する人も
保育士は、親離れが難しい子どもさんと、子離れが難しい保護者、両方の機嫌を取らなければならない。しかし、春先は多忙でそれもなかなか叶わない。
新しいクラス配置で子どもと保護者の名前が一致しなかったり、クラス替えで苦手な先生と組むこともある。環境の変化で落ち着かずケンカや噛みつきをしてしまう子もいれば、自分が作ったものを見せようとする子、排せつ処理が必要な子の対応に迫られることもある。保育士だって新しい環境に慣れなければいけないのだ。
新学期の苦労を40代の男性保育士はこう語る。
「『お部屋に入るよ!』と呼びかけると、昨年度までの保育室に入ろうとする子がたくさんいます。
一方で、自分より小さい子がたくさん入園するから、もう甘えられないと思うのか、しょんぼりしたり、保育士が声をかけても、よそよそしくなる子どももいます」
子どもたちなりに“お兄ちゃん”、“お姉ちゃん”になろうとしているのだろう。そんなある意味でたくましくも感じる姿が見られるのもこの時期の特徴だ。とはいえ、それを見て保育士の疲労がすべて癒されるわけではない。この時期の保育士は、帰宅後に“バタンキュー”となってしまう。
「明かりをつけたまま、その安心感で着替えもせずに玄関先で寝てしまいました。なんだか布団よりかたい床の方が寝やすかった(苦笑)。翌朝、あわてて支度をして、ギリギリで出勤に間に合いました。仕事もなんの支障もなく一日こなせましたよ」
と語る保育士の姿から、この仕事はタフでなければ務まらないと痛感させられる。
一方、親御さんは子どもを保育園に預けると急に自分の時間が取れることになり、大変な時期を乗り越えたことを自覚する。近所のスーパーへの買い物だって30分もかからずにすむものが子どもを連れて行くと1時間以上かかる。毎朝の“登園しぶり”は親もしんどいが、ようやく自分のペースで仕事にも復帰できるのだ。