初デートの競艇場で夫が豹変

――旦那さんもギャンブル依存症だったそうですね。どのようにして出会ったのですか。

アルバイト先が同じだったことがきっかけです。夫と出会った当時の私は、会社員をしながらもダブルワークでバイトを始めて、そのバイト先に大学を留年中の夫がいました。ある時、夫が「競艇が好き」という話をしているのを聞いて、面白そうだから連れていってもらったんです。

40年ぶりに再会した父は「4500円でいいからお金を貸してほしい」と。祖父、父、夫、三代にわたるギャンブル依存症たちと過ごした壮絶な半生_5
丸亀ボートレース場に旅行した際に夫と訪れた金刀比羅宮で願掛け
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――初デートで競艇に行ったんですか。

夫は普段は穏やかなんですが、レースが白熱してくると「おらぁッ! まくってけェェぃ!」なんて大きな声で騒ぐんです。その姿を「男らしい!」と感じて、それをきっかけに親密になっていきました。

――それにしても大学生にしては競艇って珍しい気がします。

出会った当時の夫は、ギャンブルが原因で大学を留年していました。大手企業から内定をもらっていて、あと1つ単位を取れば卒業できたのですが、試験の日が競艇の重賞レースと重なって、競艇に行ってしまって留年したそうです。本人は「試験に行かなくても卒業できると思っていた」と言っていましたが、その時点で認知が歪んでいたといえそうです。


#2につづく

取材・文/内田陽  撮影/高木陽春