『オットーという男』(2022)A Man Called Otto 
上映時間:2時間6分/アメリカ

泣きたい日には、スクリーンのトム・ハンクスを。感涙必至のハンクス映画BEST5_5
Everett Collection/アフロ
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『めぐり逢えたら』や『フォレスト・ガンプ/一期一会』で、愛する人を失った悲しみをしみじみと演じて泣かせてくれた若き日のトム・ハンクス。60 代半ばにしてまたも最愛の妻を失った男の悲しみを演じた本作は、もっと悲痛だ。

演じるのは、子供もいなければ職も失って、さらには近所にも嫌われている意固地な老人オットー。老境に差し掛かり、残りの人生をたった独りで生きていく孤独は、若いときとは比べようもないほど深い。

妻との回想シーンが幸せであるほど、現実の孤独と絶望が色濃くて胸が締め付けられる。しかし、そこはトムの腕の見せ所。

根っからのポジティブでイイ人であるトムが演じれば、適度に涙をそそりながらユーモアもちりばめて、思いやりあふれるラストへと導いてくれる。その涙の清々しさは、格別だ。泣けるタイミングは、映画館でぜひ確かめて。

文/金子裕子

『オットーという男』(2022)A Man Called Otto 上映時間:2時間6分/アメリカ

オットー・アンダーソン(トム・ハンクス)は、曲がったことが大っ嫌い。ゴミの出し方、駐車の仕方、ルールを守らない人には説教三昧で、町内の人たちに煙たがられていた。最愛の妻に先立たれ、仕事もなくしたオットーは、自らの人生にピリオドを打つことを決意。ところが、向かいの家に引っ越してきた家族にタイミング悪く邪魔をされてしまう。それも、一度だけでなく二度も、三度も。とにかく陽気で人懐っこく、超お節介なメキシコ出身の奥さんマリソル(リアナ・トレビーニョ)は、オットーとはまるで真逆な性格。突然訪ねてきては手料理を押し付けてきたり、小さい娘たちの子守や苦手な運転をオットーに平気で頼んできたりする。この迷惑一家の出現により 、自ら人生を諦めようとしていたオットーの人生は変化していく……。

公開中
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.otto-movie.jp