エルヴィスの悪名高きマネージャーを熱演

トム・ハンクスが『エルヴィス』で演じたのは、キャリア唯一のバッドガイ_a
特殊メイクを駆使し、トム・パーカー役を演じた
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トム・パーカーという名前を聞いたことがあっても、どんな人物だったかを知っている人は、あまり多くないのではないでしょうか。正体は、エルヴィス・プレスリーのすべてを管理し、伝説のロックンローラーに仕立てた影の男。生涯にわたってマネージャーを務めた強欲な人物です。

バズ・ラーマン監督の『エルヴィス』で、トム・パーカー役を演じているトム・ハンクスも、「パーカーが誰なのか、バズ(・ラーマン監督)に説明されるまで知らなかった」と言います。

トム・ハンクスが『エルヴィス』で演じたのは、キャリア唯一のバッドガイ_b
カンヌ国際映画祭で。左から、エルヴィス・プレスリーの元妻のプリシラ、映画でプリシラを演じたオリヴィア・デヨング、エルヴィスを演じたオースティン・バトラー、バズ・ラーマン監督、トム・パーカーを演じたトム・ハンクス
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「ある日、バズが僕に会いに来た。トム・パーカーを誰か知らない僕に、エルヴィスを創り上げた天才的な男だという話をしてくれたんだ。聞き始めて7分くらいで“やりましょう!”とバズに言ってしまった。その後で彼の写真を見て、自分とかけ離れたルックスだったから“えっ!”と、息が詰まる思いだったよ。けれどもう、引き受けてしまった後だったから覚悟を決めたんだ」と、カンヌ国際映画祭で会場を沸かせていました。

トム・ハンクスは、トム・パーカーのことを悪魔的天才と呼んでいます。
「恥も外聞もなく、何にでも値段をつけて金儲けにつなげてしまう天才。見方によっては学ぶところがある人物でもあるんだ」

エルヴィス・プレスリーを創り上げ、そして破滅に導いたこのキャラクターは、トム・ハンクスの40年のキャリアの中で“ナイスガイじゃない唯一の役”と言われています。ただし、人格者として知られるトム・ハンクスが演じると、どこか愛すべきキャラクターに見えてくるから不思議。
「悪いヤツを悪いヤツとして演じることほど退屈なことはない。トム・パーカーをただの悪漢として演じるつもりはなかった。プリシラ(エルヴィスの元妻)が言っていたよ。“パーカーは一緒にいて楽しい人だった。彼が部屋に入ってくると部屋中がパアッと明るくなる感じだった”って」