今こそ放送法4条削除を

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――世論はどう動くべきでしょう?

先に言ったように、まずは岸田政権に16年統一見解はその公表プロセスに問題があったとして撤回を迫るべきです。ただ、それだけでは足りない。放送法の成立を考えれば、4条は違反したら罰則があるというような法規範でなく、放送の自由を保障するための倫理規範と見るべきだというのは確立した通説です。だから、放送法には4条違反についての罰則規定がないのです。

にもかかわらず、政府だけは長い間、4条の条文を根拠に政治的公平性について総務大臣、すなわち政治権力が判断できるとしてきた。だとしたら、この機会に16年統一見解を撤回するに留まらず、放送法本来の精神に立ち返って政府が放送に介入できないようにする手立てを講じることも重要でしょう。そのためには『政治的公平性』という文言などが含まれる4条そのものを削除する法改正に取り組んでもよいのではないかと思います。

3条の「放送番組は(中略)何人からも干渉され、または規律されることがない」という条文だけで必要十分なはずです。国民の関心が高市辞任や開催中のWBCに集中することで、自政権への風当たりが弱まってほしいと岸田首相は心中で願っているかもしれませんが、それを許してはいけない。小西文書問題は政権がいますぐ対応すべき重要案件だとして、私たちは16年統一見解の撤回や放送法4条削除を岸田首相に迫るべきでしょう。

写真/共同通信社 AFLO

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