長野県の空港で使用されていた
機材運搬用ワンボックス車

2023年2月に入札がおこなわれる回の官公庁オークションをチェックしていて、僕がまず目をつけたのは、長野県庁が出品している日産のワンボックス商用バン、バネットだった。
平成6年式とかなりの低年式だが、走行距離はわずか1万4千km。
どうしてこんなに走行距離が短いのだろうと不思議に思い、車のプロフィールをよく見たら理由はすぐにわかった。

話題の官公庁オークションってどうやるの? 2台の車に入札したまあまあ面倒な経緯と意外な結果報告!_4
ボディの「長野県」の文字も渋い日産バネット
(『KSI官公庁オークション』のウェブサイトより)

この車が働いていた現場は松本空港。空港構内で、資材などを運搬する役目を担ってきた車だったのだ。
重い機材などを運ぶこともあったのか、後輪は安定性の高いダブルタイヤになっている。
後部の荷室は、座席など何もないフルフラット仕様。
前席はベンチシートになっていて、三人が並んで座れる。
こうした特徴は、車中泊用の車のカスタムベースとしてはうってつけのものと思えた。

話題の官公庁オークションってどうやるの? 2台の車に入札したまあまあ面倒な経緯と意外な結果報告!_5
車中泊車としてカスタムしてくれと言わんばかりのバネットの内装
(『KSI官公庁オークション』のウェブサイトより)

長野県庁側が定めた予定価格は、1万円とされていた。
この“予定価格”という用語は、官公庁オークション独特のものだ。
SNSなどではよく、この価格だけを見て「官公庁オークション、めっちゃ安いやんけ!」と誤解している人を見かける。
でもこれは普通のオークションの“最低落札価格”に相当するものであり、実際の落札額は予定価格の数倍から数十倍となることもある。

長野県庁が出品するバネットの気になる点は、マニュアル車であることだ。
僕はマニュアル車でも運転できるので問題ないのだが、僕の妻はかつて免許をうっかり失効して以来、オートマ限定免許しか持っていない。
妻が運転できないと何かと不便なので、もしこの車を我が家に迎え入れることになったら、妻にはもう一度教習所通いのうえ、免許の限定解除をしてもらわなければならないだろう。

車に過剰な装備は不要と思っているが、それにしてもこの車はかなりシンプルで、オプションはAMラジオしかついていない。
つまり購入後にはカーナビやカーオーディオ、ETC車載器、それにドライブレコーダーなどを新たに付け足していく必要がある。
僕はワンボックスバンの運転には慣れていないから、バック時にぶつけないよう、リアカメラもつけなければならないかもしれない。
さらに、車検は切れているので、整備と再登録の費用として10万円くらいは見とかなければならないだろう。

それら購入後の諸費用を勘案、そしていくら低走行車だとしても、すでに30年近く経過する車だし……ということも踏まえ、僕はこの車に入札する額を決めた。

25万円!

まあ、妥当なところではないだろうか。