電極に触れるだけで味が変わる不思議な体験

では、さっそくその実力を体験させていただこう。最初に“お椀型”のほうを使って「減塩みそ汁」をいただいてみることに。

〈体験ルポ〉減塩食が美味しくなる? キリンが開発中の“塩味が1.5倍になる”お椀&スプーン『エレキソルト』の実力を検証してみた_4
体にやさしい「減塩みそ汁」はどう変化するのか……

少し大きめのお茶碗といったサイズの“お椀型”の『エレキソルト』は、底部に取り外せる電気パーツが付いており、電源を入れてから底の電極部分に触れながら食べることで、身体に電気が流れるそうだ。

電源を長押ししてスイッチを入れると、お椀の側面に4本入ったスリット状のランプが点灯。電源ボタンを短く押すことで電流の強さが選べ、1段階ごとに感じる塩気が強くなるのだとか。佐藤さんによると、通常は2段階めから試すのがおすすめとのことだったが、明確に違いを実感すべく、いきなり3段階めにセット。

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底面の電極部分に触れることで電流が体内に

まずは通常時の「減塩みそ汁」を味わうべく、底部の電極に触れずに一口。やはり一般的なみそ汁よりも薄味で、濃い味が好みな筆者からすると少々もの足りない。

さて、これがどう変化するというのだろうか。

おそるおそる電極部分に指を添える。特に電気が流れているビリビリ感はなかったが、これで『エレキソルト』の効果が出ているはずなので、改めてみそ汁をすすってみた。

「あ、確かにしょっぱく感じる!」と、思わず声が出てしまった。例えるのが難しいのだが、すすったみそ汁全体の塩気が上がったというより、舌に触れたその部分を中心に塩気が強くなっているように感じたのだ。実に不思議な感覚である。

佐藤さんいわく「0.5秒から1秒かけて電気を流すので、いつもよりゆっくり味わっていただくと、より効果を実感できると思います」とのことだったので、改めてゆっくりと飲んでみた。するとさっきまで舌先だけで感じていた塩気が、今度は喉のほうにも広がっていく感覚を覚えた。

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味がより複雑な料理ではどう作用するのか?

次に“スプーン型”を「減塩ミネストローネ」で試してみよう。

固形物が入っており、汁気の粘度も高く、味も複雑なこの料理だが、一体どんな変化を感じさせてくれるのだろう。

最初に『エレキソルト』を使わずに「減塩ミネストローネ」を食すと、素材が引き立った味わいで、まずいわけではないがやはり少々味が薄いと感じた。

では、“スプーン型”を使用して実食してみよう。強さは2段階めにセット。“スプーン型”は持ち手部分とスプーンのすくう部分が電極となっているのでしっかり握り、「減塩ミネストローネ」をすくって口に運ぶ。

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カレーやラーメンなどでも高い効果があるのだとか

あくまで個人的な感想だが、「減塩みそ汁」よりも、塩気の感じ方が自然に感じられた。また、旨味も全体的に強くなっているように思える。例えるならうま味調味料を一振りしたような印象だ。

この違いについて佐藤さんに訊いてみると、「シンプルなお味の料理よりも、味が複雑な料理のほうが電気刺激が馴染んで感じることがある」ということだった。