アカデミー賞にノミネートされたのは22回

総興収は約1兆3500億円! アカデミー賞ノミネートは22回! 数字で見る、世界No.1ヒットメーカー、スピルバーグ監督のスゴすぎる伝説_5
今年度の賞レースを席巻している『フェイブルマンズ』
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『シンドラーのリスト』(1993)で作品賞と監督賞、『プライベート・ライアン』(1998)で監督賞という3個のオスカー像を手にしたスピルバーグ。もちろん、これ以外にもアカデミー賞でのノミネート歴は豊富だ。

監督賞のノミネートは『未知との遭遇』(1977)以降9度、プロデューサーとして作品賞にノミネートされた回数は『E.T.』以降12度、そして今年度の『フェイブルマンズ』では、このふたつの賞に加えて脚本賞にもノミネートされている。

キャリアの前期にはノミネートされても受賞を逃し続け、希代のヒットメーカーに対してアカデミー会員が嫌がらせをしているのでは?……などという憶測も流れたが、1986年に特別賞的な意味合いのアービング・G・タルバーグ賞を受賞してから風向きが変わりだし、90年代の栄冠へと結びついた。
さて、今年は4つめ、5つめ、6つめのオスカー像を手にすることができるのだろうか?

最短9か月で映画を完成させた!?

総興収は約1兆3500億円! アカデミー賞ノミネートは22回! 数字で見る、世界No.1ヒットメーカー、スピルバーグ監督のスゴすぎる伝説_6
メリル・ストリープ(右)とトム・ハンクスという2大スターを起用した『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
Everett Collection/アフロ
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作品よって状況は異なるが、通常ハリウッド映画は企画から完成までに2~3年かかると言われている。その点、スピルバーグは仕事が速い。なにしろ、『宇宙戦争』(2005)のようなSF大作を、「トム・クルーズの体が空いたので作るか」とばかりに、約1年でやってのけてしまうお人!

撮影期間が短ければ短いほど予算超過のリスクは避けられるし、スタジオにとっても有難い存在なのだ。そんなスピルバーグが、“もっとも短期間で完成させた作品”と自認するのが、アカデミー賞候補にもなった『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)。監督就任からわずか9か月で堂々たる力作を作り上げた。

折しもこの頃はドナルド・トランプが米大統領に就任したばかりで、民主主義の根幹が揺さぶられていた時期。権力の腐敗をテーマにした同作は、スピルバーグにとって、すぐにでも撮らなければいけない映画だったのだ。ちなみに彼はこの頃、同時進行で『レディ・プレーヤー1』の編集作業も行っていたというから、デキるヤツにも程がある!


文/相馬学

スティーヴン・スピルバーグ
1946年12月18日生まれ、アメリカ・オハイオ州シンシナティ出身。幼少期から映画を自主製作し、1969年にTVシリーズ『四次元への招待』で監督デビュー。プロデューサーとしても活躍している。映画『ジョーズ』(1975)『レイダース 失われたアーク<聖櫃> 』(1981)にはじまるインディ・ジョーンズ・シリーズ、『E.T.』(1982)『シンドラーのリスト』(1993)『プライベート・ライアン』(1998)『リンカーン』(2012)『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)など話題作多数。『シンドラーのリスト』と『プライベート・ライアン』でアカデミー監督賞を受賞した。

『フェイブルマンズ』(2022)The Fabelmans 上映時間:2時間31分/アメリカ
初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になったサミー・フェイブルマン少年は、8ミリカメラを手に家族の休暇や旅行の記録係となり、妹や友人たちが出演する作品を製作する。そんなサミーを、芸術家の母(ミシェル・ウィリアムズ)は応援するが、科学者の父(ポール・ダノ)は不真面目な趣味だと考えていた。そんな中、一家は父の仕事の都合で西部へと引っ越すことに。そこでのさまざま出来事が、サミーの未来を変えていく。

3月3日(金)より全国公開
配給:東宝東和
公式サイト:https://fabelmans-film.jp/
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