ミニシアターブームを牽引したジム・ジャームッシュ監督作

40年経った今見てもスタイリッシュ。“ケの日常”にジワジワ染み込む、ジム・ジャームッシュ監督の代表作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』_1
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』
Album/アフロ
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昔の作品でも見たことがなければ新作映画!
一周まわって新しく映った作品の数々をピックアップする「桂枝之進のクラシック映画噺」、今回は恵比寿ガーデンシネマのリニューアル記念特別上映が行われていた、ジム・ジャームッシュ監督の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)をご紹介。

ニューヨークで暮らすウィリー(ジョン・ルーリー)の家に、ハンガリーから渡米してきた、いとこのエヴァ(エスター・バリント)がやって来る。
ウィリーの元で10日間滞在した後、エヴァはクリーブランドへ移り住む。
その1年後、ウィリーは相棒のエディ(リチャード・エドソン)を連れてエヴァに会いに行き、3人はフロリダへ向けてロードトリップへ出かけるが……。

モノクロかつ1シーン1カットの長回し、淡々と生活を描くスタイリッシュな作風。
一見とっつきづらい作品なのだが、人間本来のおかしみが沸々と湧き出し、最後まで心地よく運ばれていった。
オフビートなユーモア溢れる会話劇の中に、ウィリーがエヴァの前でカッコつけようとする絶妙なダサさが滲み出る。それを少し斜に構えて笑う観客という、メタ的な構図も含めて、この作品はジャームッシュという現象なのだと思った。
(ちなみに筆者は中学生の頃、同監督の『コーヒー&シガレッツ』(2003)を「なんか名前がカッコいいから」という理由でレンタルしたことがある)