どこまでがマジで、どこからが架空なのか?
まず1本目は『境界カメラ』。前述した『フェイク・ドキュメンタリー「Q」』の製作にも関わる寺内康太郎氏が手掛けた心霊モキュメンタリーだ。
この作品の特徴は、何といってもタイトルのとおり、虚構と現実の境界を徹底的に曖昧にさせるところである。本作は、ニコニコ生放送でスタートした同名の番組内で度々取り上げられた「ナリモトD失踪事件」を元に、DVD全4巻にわたって編集されている。
心霊ドキュメンタリー製作の裏事情やチャンネルの収益といった生々しい情報が赤裸々に語られ、現実の厳しさをこれでもかと突きつける。登場人物たちのやりとりも、さらにリアルさを強化する。
そんな中で発生する人の失踪、さらには超常現象。どこまでがマジで、どこからが架空なのか…その境目が次第にわからなくなっていく。この不安感は中々味わえるものではない。正しくモキュメンタリーというものを体現している。
度々映される怪映像も非常に恐ろしい。そして、ここで描かれる恐怖は『フェイクドキュメンタリー「Q」』に受け継がれ、進化することとなる。