ツッコミがないネタは賞レースでは勝てない?
——決勝後に放送されたドキュメンタリーの中で、辻さんが「俺らが勝てる大会でなくなってきたのかな」と語っていた姿が印象的でした。大会の性質が変わってきた、ということなのでしょうか。
辻 去年から、お客さんが手を叩くようになったんですよね。いい雰囲気ではあるんですけど、戸惑うんです。ペースが掴みづらいというか。ネタ自体は準決でもむちゃくちゃウケたし、自信は持ってたんです。ただ、やっぱり決勝のお客さんとの相性みたいなのはあるのかなと思います。
——確かに手を叩いていましたよね。「拍手笑い」ってこんなに頻繁に起こるものなのかなと思ったら、どうやら、スタッフの配慮だったみたいですね。新型コロナの影響もあって、拍手で笑いを表現しよう、と。
辻 拍手はしようと思えば誰でもできる。なので、常に全員が、ずっと笑っている感じなんですよね。
——今回のニッポンの社長のネタは『人類再生計画』という壮大なスケールのネタでした。悪に脅かされた時代から、平和な時代に戻って、また悪に支配されるという。
辻 前大会、審査員の口から割と「展開が」という言葉が聞かれたんです。なので、壮大さはがんばったんですけど、そこじゃなかったですね。完全に。今年に関して言えば、ボケ数でした。
——会場を沸かせた回数が多い方が、当然、審査員の印象もよくなりますもんね。ニッポンの社長の場合は、今回の『人類再生計画』もそうでしたが、ためてためて放つ一発のボケが強力なんですよね。ただ、新型コロナの影響でお客さんの人数も少なく、しかも、あれだけ温かい雰囲気だと、そのボケの大きさが強調されにくいというのはあったんでしょうね。
辻 僕らはツッコミも0回ですしね。ツッコんだ方が、お客さんも笑いどころがわかるので、盛り上がるんですよ。