「バター乗せカツカレー」で20キロ激太り

――『六本木洗脳』には、2000年代当時の芸能界の闇だったり、また小阪さん自身が洗脳され、ボロボロになっていく様子が赤裸々に綴られていますが、なぜ、この本を出版しようと思ったのでしょうか。

小阪(以下同) きっかけは4年くらい前になります。たまたまテレビを観ていたら、私を洗脳した“あの人”が出てきて。それを見た時、すごい体が震えて、恐怖みたいなものが全身を襲ってきました。

さらに、その恐怖が何日たっても消えなくて。自分としては、もうある程度、洗脳からは抜けたと思っていたのですが、そうではなかった。これを乗り越えるために、自分の気持ちと向き合うために書き始めたのがきっかけです。

小阪由佳 1985年生まれ。「ミスマガジン2004」グランプリでデビュー。2009年に芸能界を引退後、保育コンサルタントや幼児教育事業、イベント制作などに転身し、2023年にかけて芸能界に復帰、現在は「株式会社グラビアアイドル」の代表取締役社長としても活躍中
小阪由佳 1985年生まれ。「ミスマガジン2004」グランプリでデビュー。2009年に芸能界を引退後、保育コンサルタントや幼児教育事業、イベント制作などに転身し、2023年にかけて芸能界に復帰、現在は「株式会社グラビアアイドル」の代表取締役社長としても活躍中

――書籍では、その方を「女性で、年上で、占い師で、頼りがいのある“姉さん”」と書かれていますが、どのような経緯で洗脳されていったのですか。

私は高校を卒業して芸能界に入り、運よくすぐにミスマガのグランプリをいただきました。右も左もわからないまま毎日必死だったんですが、なかなかキャラを確立できずに“これでいいのか”と悩んだり、“仕事がなくなったら社会人としてやっていけないのではないか”といつも不安だったんです。

そんなとき、以前に番組で共演したことのある“姉さん”に悩みを告白し、依りかかっていくうちに、徐々に支配されていきました。

――そんな彼女の言うがままにその後、芸能界を引退、20キロ激太りし、さらにその姿をライブで公開するなど、“お騒がせタレント”として炎上していきますが、一番苦しかったのはどんなことですか?

どこ、とピックアップするのも難しくて、もうずっと苦しいんですよ。でも、やっぱり一番つらかったのは、自分が激太りした姿が、記事となって世間に出たときですかね。血の気がひきました。

今で言うと、絶対に送ってはいけないLINEを送ってしまったけど、送信取り消しが出来ず、既読がついてしまった。もう消せない!というのに近い恐怖。それを全国に公開したようなものでしたから。

――当時、自分が洗脳されているという自覚はあったのでしょうか?

それは、ありました。当時は「太ったら話題にもなるし、注目される」「太れ!まだまだ足りない!もっと太れ」と言われるがまま、嘔吐しながらバター乗せカツカレーを食べていたんですが、洗脳の卑劣なところは、“自分の意思でやっている”と思わせるところなんです。

こんなにも太った姿を世間に公表するなんて絶対に嫌だと思う一方で、ここまで太るために頑張ってきた努力を否定したくない自分もいて、突き進んでしまったというか。