「誰かに認められたい」といつも思っていた
―昨今ウェアやバックパックなど、「ギア」の観点からも登山はブームになっています。小椋さんも、ギア集めに興味はありますか?
最初はあまり興味なかったのですが、山に登っているうちに「あれも欲しい、これも欲しい!」となってしまって…(笑)。
今狙っているのは、一番上に着るハードシェルですね。風を防ぐウィンドシェルではなく、冬場の登山にも使える厚手のもの。赤色のハードシェルがよくていろいろチェックしているのですが、しっくりくるものがなかなか見つけられず、かれこれ1年以上探しています。
―やっぱりどんどん欲しくなってしまうものなんですね(笑)。
あ、それとハンモック! ザックの中に入れられるとてもコンパクトな製品があって、それを買おうと思っています。寒い時期だと、休憩中に地面に座っていると、シートを敷いていてもやっぱりお尻が冷えちゃうんですよ。
そんなときにハンモックがあれば、座ったり横になったりするのはもちろん、荷物も置けますし、1つあるといろいろなシーンで便利だなぁと。3月までに絶対買うと心に決めています(笑)。
―そもそも小椋さんは、どういったところに登山の魅力を感じているのでしょうか?
それこそたくさんの魅力があると思うのですが、今の自分に一番しっくりくるのは「山は自分に寄り添ってくれる」というところ。私は仕事で精神的に追い込まれると、「もっと期待に応えなきゃ!」と気を張りがちなのですが、たとえば登山中に川の流れを見ていると、「もっと流されるように生きていいんだ」と思えるんです。
そういう意味でも、登山を始めたおかげで、肩肘張らず、自然なままで過ごせるようになりました。あと厳しい環境の中でもたくましく生きている植物の姿を見ていると、自分もしなやかでいたいな、と思ったり…。
―登山を通じて、新しい自分に出会えたと。
はい。それこそ、自分のことが好きになれましたね。それまでは、人に求められることに必死で、頑張ることで誰かに認められたいと常に思っていたんです。だから「あの仕事、うまく立ち回れたかな」といつも悩んでばかりいて、そんな自分のことが全然好きじゃなかった。
でも、山と一緒に過ごす時間が増えたことで、「ありのままの自分でいいんだな」と素直に思えるようになったんです。
本当に、山にはいつも救われています。