大切なのは残り95%の人たち
――ちなみにレンタル料金でいうと…。
それぞれリクエストが違うので、一概にはいえないんですけど。そうですね、平均すれば女の子が25万円くらいで、男の子は20万とか30万円くらいだと思います。
――オリジナルのデザインは、おひとりでやられている?
9割は私ですね。最初は手探りでしたが、今はもう立派なデザイナーですね(笑)。
――これはあまり触れられたくない話かもしれませんが、一時期未払いが増えて、裁判所に提訴したというニュースがありました。
10年くらい前でしたね、未回収の案件がぽつぽつと出始めて。とは言え、未回収自体はこの業界ではそれほど特異なことでなく、どのお店でもあるよねという感じのものなんです。
ただ、ウチの場合はある時期を境に増えてしまって。看過できない金額、900万円を超える金額に膨らんでしまいました。
――みやびは代金を支払わなくても大丈夫、というような悪質な噂まで流れたとか。
そうなんです。さすがにそれを聞いた時はショックでした。腹も立ったし、成人になる人間がそれでいいのか!? と思いました。それは違うだろうと。
ただわかって欲しいのは、95%の人は「ありがとうございました。おかげで最高の成人式になりました」と言って、きちんと支払ってくれるんです。困ったちゃんは残り5%の人で。そこにスポットが当たるのは、これはもうしょうがないんだけど、やるせない気持ちになりますね。
――その悪質な噂は?
嫌なことに蓋をせず裁判にして、私たちの思いも含めすべてを明らかにしたことで、きれいになくなりました。今では新成人になる子たちもそのことをちゃんと知っていて、「払わないで逃げるのはだめだよね」とか、「オレらはちゃんと払うから」とか、半分冗談のようにして話してくれます。当時提訴するかどうか随分悩みましたが、今は結果オーライだったなと思っています。
――値段はどうやって決まっていくのでしょう?
新成人たちがこうしたいという理想と、そこまでやったら高くなり過ぎちゃうから安くするためにどうしようかという、相反することを擦りわせ、着地点を見つけていくこと。ここは絶対に譲れないんだったら、そこはそのまままで、ここはどうかな!? と、アイディアと思いをぶつけ合い、溝を埋めていく。毎年毎回その繰り返しだし、それは20年間ずっと変わっていません。
――今年も成人式が終わったら、みんなうずうずしながらみやびに報告にやってくるんでしょうね。
その時だけはお店に来ちゃダメとはいえないので、男の子も女の子も、きらきらした目でやって来ると思います。ひとりひとりの熱量がこもった自慢話を聞くのも仕事だし、それが楽しみでもあるし、最高のご褒美です。