移住したい人が住む場所がない
また不思議なことに田舎には空き家は多いのに、誰も売りたがらないため住む場所がないのです。理由はシンプルで田舎に住む人ほど、よそ者を望んでいないからです。
一方で自治体は人を呼びたいと思っています。自治体の担当者と話す機会があったのですが、「誰も家を譲ってくれないため、移住者に提供する賃貸を用意できない」と嘆いていました。
田舎は近隣住民の評判がついてまわるため、土地の保有者も見ず知らずの人に貸すリスクを冒せません。また都市部から移住する人は「田舎というサービス」を楽しみたいと思っており、面倒な地元行事を避けたがります。しかし、地元の人間は地域参加と居住はセットと考えています。
こうした問題もあり、地方には選ぶほどの「住まい」がありません。とはいえ、いきなり見ず知らずの土地で家を建てる人などいないでしょう。筆者も偶然見つけることができた今の住まいを逃していれば移住を見送っていました。
そもそも移住できるのは経済的にもゆとりのあるリモートワーカーでしょうから、お金を配るより、そのお金を使って最低限手入れされた住まいを提供する方がよほど移住促進に繋がると思います。
お金をもらっても住める場所がないのであれば、どうやって移住するのか? 最近はバラマキ政策ばかりが目立ち、本当に問題解決したいと思っているのか疑問でなりません。
文/井上ヨウスケ