3年間、家族で田舎暮らしをして気づいたこと

コロナ禍の波が日本に来ておよそ2年あまりが経過した。感染拡大対策が広まる中で、テレワークの普及などがあって、人々のライフスタイルには多くの変化がもたらされた。コロナ禍を避けるための地方移住、いわゆる“コロナ移住”もそのひとつである。

実は筆者も地方移住組である。厳密にはコロナ移住でなく、「家賃が安いところ」を求めて引越したら、その後コロナ禍が始まった。生まれ育った東京都港区を出て千葉県の郊外で暮らし始めて約3年、生活はだいぶ落ち着いてきて「地方移住の良し悪し」が自分なりにつかめてきた頃合いである。

この機会に、他の地方移住者のケースも参考に見ながら「地方移住の良し悪し」、および「地方移住の成否を分けるポイント」について考えてみたい。

まず地方移住のメリットとして真っ先に連想されるのが「のんびり暮らせる」だ。これは都会暮らしに比べれば、間違いなくのんびりしている。夜8時を過ぎれば車のエンジンをかけるのがためらわれるほど辺りは静まり返る。遠くの国道から響いてくる反社会的な若者たちによる爆音のバイクのエンジン音が牧歌的にすら聞こえるくらい、のんびりと静かである。

しかし「のんびり」自体に実はメリットとデメリットがあったのだった。いや、正確には、「のんびり」は捉え方次第で良い方向にも悪い方向にも解釈できる。ある地方移住者を観察した人のエピソードを紹介したい。