猪塚健太の美しさが限界突破した

これまでも数々の話題作に出演してきた36歳の猪塚健太。もともと端正な顔立ちの俳優だなと思ってはいたのだが、今年、美しさが限界突破したと感じた作品があった。それが『ANIMALS-アニマルズ-』(ABEMA)だ。

同作は、ブラック企業で働く“社畜OL”の海(鈴木愛理)が、ある出来事をきっかけにコスメメーカーに転職し、恋に仕事に奮闘していく物語。この中で猪塚は愛理が転職したコスメメーカーの副代表・悟を演じた。かつては代表の圭祐(白洲迅)に想いを寄せていた悟。彼は仕事に対して厳しく、クールで、常に美しい。だけど、圭祐に甘えられると弱い一面も持っていて、厳しさの中に人間らしさを覗かせる。それは、美しさが見た目だけのことではなく、生き様までをも含めたものであることを物語っているかのようだった。

今年で36歳の猪塚が演じる悟を見ていると、人は何歳からだって、もしかすると年齢を重ねるほど、美しくなれるではないかという気にさせられる。

年々毒性を増す中島歩、その魅力

猪塚と同じく、これまでたくさんの作品に出演、その度に独特の空気感を醸し出してきたのが中島歩だ。ズルイ男を演じたら右に出るものはいない、何とも言えない気怠い色気はなんなのか……。

城定秀夫監督がメガホンを取り、今泉力哉が脚本を務めた『愛なのに』で演じたのは、婚約者がいながらあろうことかウェディングプランナーと浮気をする紛れもない“クソ男”・亮介。こんな男、許すまじと思うのに、なぜか放り出してしまうには惜しい気持ちにさせられる魅力は、もはやほとんど毒だ。

そしてさらにその毒性を増していたのが、映画『よだかの片想い』で演じた飛坂だ。恋に消極的だった主人公のアイコ(松井玲奈)と距離を縮めていくが、飛坂の元恋人の影が障壁となる。だが、飛坂に他意はなく、常に誠実でいたはずで、だからちっとも責められない。現実にこんな男性がいたら、きっと多くの人の耳の奥で、この毒牙につかまってはならない、と警報が鳴るだろう。なのに、毒はその警報を麻痺させる。中島歩ここにあり、という存在感をまざまざと示して見せてくれた。

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