秋GP帯(ゴールデン・プライムタイム=19時~23時)ドラマにおいて、少々珍しいことが起きている。『ファーストペンギン!』『silent』『PICU 小児集中治療』など、合わせて7作品が、漫画や小説などの原作がない完全オリジナルストーリーなのだ。
ドラマや映画の制作において、もはや原作は切っても切り離せないもの。視聴者である私たちもおもしろいドラマや映画に出会ったら「原作は漫画か、小説か」と調べるのが一般的になっている。
それは善悪で語る問題でもない。おもしろく、評判がよい原作をうまく生かすことができれば、ドラマや映画も売れる。コロナ禍によって深いダメージを負ったエンタメ業界において、手堅く売上が見込める作品作りを優先するのは、なんら不自然なことではないように思える。
しかし、その現状を前提にあえて言いたい。
今の視聴者は、原作のないオリジナルストーリーを求めていると。
本稿では、視聴者がオリジナルストーリーを求める理由を3つ考察する。
原作実写化恐怖症? 好調の10月期ドラマ。視聴者がオリジナルストーリーを求める3つの理由
秋GP帯ドラマのうち『ファーストペンギン!』『silent』『PICU 小児集中治療』『君の花になる』『ザ・トラベルナース』『エルピス —希望、あるいは災い—』『アトムの童』の7本は完全オリジナル脚本だ。今、圧倒的にオリジナルストーリーが求められる理由と、視聴者のニーズに合わせて“原作に頼らないドラマ作り”に乗り出す制作側の姿勢を考察する。
先が読めない展開に期待!
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オリジナルストーリーを求める3つの理由