今期最も注目を集めたドラマと言われている「silent」(フジテレビ系)。
川口春奈(27)演じるヒロイン・紬は高校時代に一方的に振られた恋人・想(目黒蓮)のことがずっと忘れられずにいた。そんな中で、数年後に2人は偶然に再会。そこで紬は、想が重度の難聴を患っていることを知る。だがすでに紬には別の彼氏がいて――という、複雑な人間関係のなかで登場人物たちの切ない心境が絡み合い、「令和一泣けるドラマ」との呼び声も高い。
いよいよ12月22日に最終回を迎える本作だが、終盤にさしかかった現在でもその熱気は衰えることがない。そして話題を呼んでいるのが、ロケ地を回る“聖地巡礼”だ。
芸能関係者が言う。
「ファンの女性たちはSNSに『聖地巡礼』の様子をアップ。『silent』大ファンを公言するタレントの若槻千夏(38)やお笑い芸人・パンサーの向井慧(36)も『聖地に行ってきた』と自らのインスタに上げ、もはや社会現象となっているのです」
何がそこまで、若い女性たちを熱狂させるのか。SNSで「silent 聖地巡礼」と検索してみると、「聖地」と呼ばれる場所は多々あるものの、中でも人気が高いのが小田急線・世田谷代田駅だ。最終回を目前にした今、この「聖地」駅はどうなっているのか。取材班が現場へと向かった。
12月11日。当日は冬でありながらも暖かく、コートがなくても過ごせるような小春日和だった。世田谷代田駅は新宿駅から約12分。下北沢駅からも近いが各駅停車しか止まらぬ小さな駅で、駅の周辺にも大きな建物などはなく「地味な駅」という印象だ。
記者が14時過ぎ、小田急線世田谷代田駅に着くとすでに駅の西口改札口を出たところにはスマホを構えた若者が15名ほど集まっていた。彼らの視線の先にあったのは世田谷代田駅の看板と、改札を出てすぐのベンチである。どちらも、ドラマで重要な役割を果たした、ファンにとっては特別な場所である。
中でも第一話で想が、紬が落としたイヤフォンを拾った駅前のベンチは、ドラマのキーとなる舞台ということもあって大人気だ。
ベンチに腰掛け、写真を撮っていた20代女性2人に話を聞いた。彼女たちは紬がドラマで着用していたのと同じ青いニットを着ていたが、その後も記者は、紬のトレードマークである青のニットを着た女性を何人も見かけた。
「いろいろな聖地がありますけど、なんで“ここ”かというと、ここは第一話で、紬と想が再会して、これからストーリーが始まるという、まさに“出会ってしまった”場所なんです。もう、ドラマの世界に浸りたくて、しっかりと二人で青い服を着てきました」
同じく、ベンチの前で写真を撮っていたのは千葉から来たという22歳の女性。もともとは目黒蓮のファンだったためドラマを見始めたというが、いまではすっかり『silent』の世界にハマっているのだという。
「第1話のここでの再会のシーンが一番好きなんです。想くんが手話で気持ちを伝えようとしても何も伝わらず対話にならないところとか、泣いちゃいましたね。実際の場所に今日来てみたら、なんか色んな思いが溢れてきて感動しちゃいました。実は、ドラマの聖地巡りも初めてで、これからこの近辺の、“聖地”とまでは言わないような撮影地も細かくまわってこようと思っています」