解説者1年目を終えて
――鳥谷さん自身、現役を引退されてからもう1年が経ちましたが、どんな1年でしたか?
最高でした(笑)。この生活がずっと続いてほしいぐらいです。あっという間に時間が経った感じがしますね。実際に野球をやめるまでは、自分の日常生活にどれだけ野球というものが入り込んでいたのかさえ、わかっていませんでした。
朝起きて、まず身体のどこかが痛くないかをおそるおそる確かめる必要もないですし、仮に体調に不安があれば、休めばいいときもあります。野球のことを考えなくていい生活を送ってみて、いかに野球中心の毎日だったのかがよくわかりましたね。
現役を退いて、そのまま指導者になりたいと考える人もいれば、ゆっくりしたい人もいるでしょう。でも、自分は、現役のときから、引退したらゆっくりしたいと考えていたので、実際にその生活を送ってみてやっぱりいいなと感じています。
取材者としては、コロナ禍で練習を見ることもできず、満足に取材できない場合が多いので、本当にずっと野球と向き合いたいと思っていたら、ちょっとつまらない引退後になっていたかもしれません。
――そうは言いながら、解説や評論などのお仕事だけでなく、多方面での積極的な活動が目立っていますね。もっと、ゆっくりされるのかなと思っていました。
ありがたいことに、たくさんの方から声をかけていただいたので、経験していないことは全部やってみようというぐらいの気持ちで、いろいろなことにチャレンジさせていただいています。
自分自身は社会人野球を経験していないので、社会人野球チームのコーチをやらせていただいたのも、野球の違う一面を知ることができ、今までとは違った充実感がありました。
野球から完全に離れた仕事ばかりになってしまうと、感覚のズレも出てくると思うので、ある程度野球とも携わりながら、仕事を続けていきたいですね。