2002年日韓W杯・決勝に舞った折り鶴

――新しいユニフォームについてご説明していただけますか?

高木将(以下同)
「W杯の開催地・カタールを、日本代表にとって歓喜の地にしたい」という想いを、今回のデザインに込めています。そのインスピレーションの元となったのは、2002年日本・韓国共催W杯の決勝戦の後、横浜国際総合競技場の空に舞った“270万羽の折り鶴”です。
日韓W杯の優勝者への歓喜の象徴となった「ORIGAMI」をコンセプトとして、このユニフォームを開発しました。

――2002年日韓W杯に対しての、高木さんの個人的な想い出はありますか?

私自身ずっとサッカー少年で、当時は中学生でしたが、テレビで観戦し、熱中していました。日本代表が初めてW杯に出場した1998年フランス大会も印象深いのですが、2002年の日韓W杯は「日本全体がサッカーに最も熱狂した瞬間」なのではないか、と記憶しています。

今回のコンセプトの“フック”となる部分を探していた時に、JFA(公益財団法人日本サッカー協会)さんが運営する日本サッカーミュージアム(文京区)で、「2002年日韓W杯の決勝の地に折り鶴が舞った」という展示を見つけたのです。
その瞬間「イケる」という直感を得て、最終的にコンセプトとして決定するに至りました。

歴代最高の高評価!? 「選手達がピッチ上で躍動する時に完成する」 サッカー日本代表・新ユニフォーム「ORIGAMI」秘話_1
高木将氏(アディダス ジャパン マーケティング事業部マネージャー)
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――今回のデザインで、特にこだわった部分はどこでしょうか?

コンセプトの「ORIGAMI」をどうデザインとして表現するか、という部分にこだわりました。ホームユニフォームのデザインは、折り紙の展開図や折線をベースに、アウェイユニフォームは折り紙を折っていく過程の形をベースにしているのですが、どちらにも共通するのが「折り紙の完成形のデザインは全く使っていない」ということです。

日本人やその他の国々の方がこのユニフォームを見て、「ORIGAMI」がコンセプトと聞いたらすぐに納得できる、という見た目の分かりやすさも大切ではあります。ただ、折り紙の最終形態をデザインとして見せるのではなく、「選手達が実際にピッチ上で躍動する時に、ユニフォームとしての完成形を表現できれば」という想いがありました。

そこで、あえて抽象的で幾何学的な模様を重ねることで、「このユニフォームだけに留まらないストーリー性」という部分を表現しようと努めました。

歴代最高の高評価!? 「選手達がピッチ上で躍動する時に完成する」 サッカー日本代表・新ユニフォーム「ORIGAMI」秘話_2
ホームユニフォームには、折り紙の展開図や折り線をベースにした模様があしらわれている(adidas is the official supplier of the Japan National Team)