日本という国“らしさ”を表現
――通常、コンセプトとデザインはどちらが先に決まるのでしょうか?
コンセプトを先に作る方が多いですね。今回は、最終的なデザインのイメージを持ちながら、まずコンセプトを決めていきました。
コンセプトを決める上で、「“日本を象徴・代表するもの”で、なおかつそれが“日本サッカーに繋がる”」というところを意識しました。その他にも様々な候補があった中で、最終的に「ORIGAMI」が抜きん出たため、決めた形ですね。
――ちなみに、「ORIGAMI」以外の候補はどんなものがあったのでしょうか?
今後のコンセプト案としても取っておきたいので、そこはノーコメントでお願いします(笑)。ただ、過去の日本代表ユニフォームで使われていた“侍”や“富士山”のような、「日本というキーワードから思い浮かべるイメージ」から近しいものがありましたね。
――「ORIGAMI」というコンセプトが決まってから、どのくらいの数のデザイン候補から絞っていったのでしょうか?
具体的な候補数を申し上げるのは難しいですが、そのプロセスを大まかにお伝えしますと、まず「コンセプトを決める」。その後にスケッチと呼ばれる「絵型を作り」、そこから「サンプルを作成」します。その後、サンプルを微調整しながら、最終的なデザインを決めていきます。
――デザインの段階でJFAと情報共有することはありますか?
デザインだけではなく、コンセプトを決める段階でもJFAさんの意見も聞きながら、という感じですね。どちらか一方の意見が強いと言うよりは、それぞれのマイルストーンで目線を合わせながら、一緒に作り上げていきます。
――日本以外の各国代表のユニフォームも同時期に発表されていますが、襟首の形や袖の部分など、それぞれ微妙に異なる部分がありますね。
パイピングであったり、オーセンティックバッジだったり、付いている機能というのは統一されたものなのですが、襟や袖など細い部分は異なりますね。
パッと一覧で見たときに、「アディダスは今回こういうスタイル」という統一感はありながら、グラフィックやディティールの部分では、“それぞれの国らしさ”というのを表現しています。
――ちなみに、そもそもなぜ、サッカー日本代表のユニフォームは青色がベースカラーなのでしょうか?
それには諸説あるのですが、昔は単独チーム主体で日本代表チームが構成されていたのです。それが1930年に初めて、全国からの選抜メンバーによる日本代表が結成され、代表のユニフォームが必要ということになりました。その際に「国土を取り巻く海の色」である青をベースカラーに据えた、とされています。それからは、基本的には青色のユニフォームが採用されていますね。