取材での受け答えの鮮やかさに感服
筆者が初めてキーラ本人に会ったのは、人気が急上昇した2003年。『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』の公開直後だった。そこで覚えているのは満面の笑みと、「子供の頃から大ファンだったジョニー・デップと一緒にお仕事ができただけで、うれしい。ジョニーが理想の男性です!」というコメント。
当時のキーラは、無邪気で本当にかわらしい18歳だった。隣に座るジョニーも、妹を愛でるように目を細めていたっけ。
その後、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(2006)『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(2007)が公開され、あれよあれよという間に国際的スターの座についたのは知ってのとおり。
2回目に会ったのは、シリーズ第2弾が日本公開される直前の2006年初夏。ニューヨークのホテルに現れた21歳のキーラは、ニコニコ笑顔はそのままに、聡明なレディに成長し、自信に満ちあふれていた。
それもそのはず。前年の『プライドと偏見』(2005)ではアカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞候補になっていたのだから。イギリスの文豪ジェイン・オースティンの小説『高慢と偏見』を映画化したこの作品で披露した、気品あふれる佇まいは絶品!
じつは、インタビューの途中で同席したほかの記者が、共演者のルパート・フレンドとの恋の噂を匂わせる質問したのだけれど、例のニコニコ笑顔で「それってネットからのネタでしょ? そんなの信じちゃだめよ」と、怒りもせずにサラリとかわしていた。その鮮やかなお手並みに感服したものだ。
『プライドと偏見』のジョー・ライト監督とは、その後『つぐない』(2007)で再タッグを組み、クラシカルな美貌を余すところなく際立たせ、恋する女性の“艶”を放っていた。この作品で再びゴールデン・グローブ賞主演女優賞候補にもなっている。
そして、その後も『ある公爵夫人の生涯』(2008)などのクラシカルな作品から、デヴィッド・クローネンバーグ監督の歴史劇『危険なメソッド』(2011)など、幅広い作品に精力的に出演した。