ざわつかせる芝居をさせたら若手随一
観客を不安にさせ、精神的に追い詰めていく描写が満載のサイコロジカルホラー『ミッドサマー』(2019)。本作に主演したフローレンス・ピューは再び、不穏な世界観の最新作『ドント・ウォーリー・ダーリン』(2022)で、堂々と主演を務めています。若手俳優の中でダントツの演技力を誇る彼女の魅力を探ってみましょう。
パク・チャヌクが監督し、マイケル・シャノン、アレクサンダー・スカルスガルドが共演したTVミニシリーズ『リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ』(2018)で、著者は初めてフローレンス・ピューという俳優をしっかりと認識しました。
まず童顔と低音ボイスのギャップにやられ、諜報機関にスパイとして雇われた小劇団の俳優に扮する彼女の熱演を見て、「すごい新星が現れた!」と驚いたのを覚えています。
そのすぐ後に、『ファイティング・ファミリー』(2019)を見たのですが、小柄な体で、負けず嫌いのプロレスラー役を演じていて、体を張る役にも果敢に挑戦する俳優だと知りました。
丸顔で太い眉に大きな目、ちょっと上を向いた鼻という印象的な顔立ちにも惹かれ、目を離せない俳優に。
そして、2019年。公開前から大きな話題を呼んでいた『ミッドサマー』(2019)を見た後は、若手俳優の中でも5本の指に入るスーパースターだと実感しました!
『ミッドサマー』で彼女が演じたダニーは、そんじょそこらの俳優には演じきることができない、複雑な表情演技が必要とされる役柄でした。彼女の顔や肉体から、観客に向けて不快感や嫌悪感が放出されていて、それが頭に染みついて離れないくらい、強烈で忘れられない演技を披露していたフローレンス。
この映画に主演したことで、一気に世界中の観客を虜にしました。