5,000万円を持ち逃げされたことも! あのメイウェザーも立ち寄った銀座のジュエラー。マイク・カワグチ氏の叩き上げ半生_03

億万長者を多数相手にしてきたマイクさんから見た、
本当に豊かな人とは

――こういうご商売をしていると、人の浮き沈みみたいなものが目についたり、考えたりすることもあるんじゃないですか?

確かにそうですね。いろんな種類のお金持ちを見てきているので。僕自身も浮き沈みしてきましたしね。

――これまでにどんな失敗を?

人からだまされたことなんて、いっぱいありますよ。この商売を始めてまだ日が浅いときに、取引業者に5000万円の時計を持ち逃げされました。結婚して間もない頃だったので、さすがにその時は周りのみんなから「大丈夫か?」と、とても心配されました。

――ひぇー! それは大変ですね。

でもその時に唯一、「よかったな」と言ってくる人がいたんです。

――どういう意味ですか?

僕のことを可愛がってくれる、不動産で大成功した70歳ぐらいのすごい方なんですけど。
「よかったよ。おめでとう! お前はこれで、やっとビジネスマンの入口に立った」と。

――うわあ、なんだかすごい話だ。

「5000万くらい乗り越えられなかったら、一流のビジネスマンになんかなれない。神様がいい試練をくれたなー」って言うんです。その時はこちらもいっぱいっぱいだったので、そんなに響かなかったんですけど、しばらくしてその方から、僕んちに新車が届いたんですよ。

――ええ!?

「真面目にやってれば、絶対にいいことがあるんだ。頑張れよ」って、僕を励まそうと車をプレゼントしてくれたんです。

――めちゃくちゃかっこいい人ですね!

それからは悪いことや嫌なことがあってもいちいち動じず、「その倍を稼いでやるぞ」とプラスのエネルギーに変えられるようになったんですよ。

――なんだかスケールが桁違いすぎて。遠い世界の話って感じです。

いくらお金を持っていても、マイナスエネルギーの強い方は僕の中では成功者とは思えません。こんな高級時計を売っていて矛盾しているかもしれませんが。高いものを買っときながら、人にお金を使えない人っていっぱいいるんですよ。

――マイクさんに車をプレゼントしてくれたその方は、プラスエネルギーの塊みたいですよね。

そうです。でも世の中には、6000万円の時計を買うほどお金を持っているのに、ご飯では1円も出さなかったり、細かい数字まできっちり割ったりする人もいて(笑)。「この人はなんでこんなにケチなんだろう。これで成功者と言えるのかな?」と疑問に思ったりもします。
はっきり言うと僕自身は、いまだに個人の貯金なんて全然ないんですよ。銀行に貯金していても何にもならないと思うタイプなんで、ガンガン使っちゃうんです。飯を食いに行ったら、年上だろうが年下だろうが僕が全部払いたいんです。その方が気持ちいいんで。

――すごい。かっこいいですね。